2020年05月25日 12:14 公開

香港で24日、中国政府による新しい国家安全法の導入に反対するデモがあり、警察は催涙ガスや放水車などを使用した。

デモには数千人の市民が参加し、香港の市街地を行進した。警察は120人を逮捕したと発表している。

国家安全法が成立すれば、香港では「反逆、分離独立、扇動、反政府」行為などが禁止されることになる。香港の活動家は、この法案が香港の自治をせばめ、中国政府への反発を抑えるものだと恐れている。

先には世界各国の政治家200人が共同書簡を発表し、この法案を批判している。

一方、中国の王毅外交部長は、国家安全法は「一刻も早く成立されるべきだ」と述べた。

親中派とされる香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官も、国家安全法を全面的に支持すると約束。香港の諸権利は変わらないと話している。

中国はまた、この法案が香港の外国人投資家を害することはないと説明したほか、各国の「介入」を非難した。

デモの様子は?

デモ参加者はこの日、銅鑼湾や湾仔区に集まり、政府を批判するスローガンを叫んだり、プラカードを掲げたりした。新型コロナウイルス対策のため、マスクを着けての行進となった。

これに対し治安警察は、催涙ガスと放水銃で対応した。

当局は新型ウイルスの流行を防ぐため、市民に社会的距離を取ることを義務付けている。そのため、無認可の集会や大規模集会を行わないよう警告を発していた。

一部のデモ参加者は傘やペットボトルなどを警官に投げつけた。また、ごみ箱などで道路を封鎖する人も見られた。

報道によると、今回のデモは昨年から続いていた、犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改定案をめぐるデモに似ているという。

一連のデモでは数百万人もの人が7カ月にわたって街中で抗議し、次第に暴力的になっていった。これまでに8400人以上が逮捕されている。

国家安全法とは?

国家安全法制を整備する「決定案」には、香港が国家安全保障を「改善すべき」だと記されている。

また、「中央人民政府の国家安全保障機関は必要に応じ、法にのっとって、香港に国家安全保障を守る責務を果たすための機関を設置できる」と書かれている。

これは、中国政府が自治政府とは別に、香港の法執行機関を独自に設置できる可能性が示唆されている。

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は先週、この法案は香港の自由に「死を告げる鐘」だと説明。イギリスやオーストラリア、カナダも「深い懸念」を表明した。

アメリカと中国の関係はすでに、貿易や新型ウイルス対応などをめぐって緊張状態にある。

アメリカ政府は香港の通商・投資優遇措置を延長するかどうかを検討しているとしている。ドナルド・トランプ米大統領はまた、中国が国家安全法を制定したら強固な対応を取るだろうと述べたが、詳細は明かさなかった。

これに対し中国の王外交部長は、「アメリカの政治権力」が両国の関係を「新たな冷戦の瀬戸際」に押しやっていると批判した。

中国政府は、この法律は昨年に香港の政治的抗議行動で起きたような暴力を「防止し、阻止し、罰する」ために必要だと主張している。

中英連合声明の「目に余る違反」

外国の政治家による共同書簡はイギリス植民地時代の最後の香港総督、クリストファー・パッテン卿とマルコム・リフキンド元英首相が草稿を書き、23カ国186人の政治家が署名した。

書簡では、国家安全法は1997年の香港返還時にイギリスと中国が結んだ中英連合声明を「目に余るほど違反している」と指摘。「香港に対する約束について、国際社会が中国政府を信頼できなくなれば、他の約束にも応じなくなるだろう」と警告した。

署名にはアメリカ連邦議会の議員17人や、イギリスの下院議員44人などが含まれている。

中国の全人代は、5月28日の閉会前にこの決定案について採決を行う予定。その後、同国の最高立法機関である全人代の常務委員会に渡され、6月末には法として施行されることになる。

(英語記事 HK police fire tear gas at security law protesters