通常であれば、消費減税は景気刺激の「1丁目1番地」に位置する。今回の日本の経済苦境は、米中貿易戦争を背景にした景気後退、昨年の消費増税、新型コロナ危機の「三重苦」の経済であり、とりわけ消費増税が恒常的に消費を引き下げ、経済を停滞させている。

 だが、感染期では、消費減税政策の推進は少し後退せざるを得なくなる。なぜなら、感染期の経済対策は、消費のための「お金の確保」が最優先されるからだ。

 そのため、お金自体を増やす政策、定額給付金や各種のローンの支払い猶予などが中核になる。その意味で、1次補正に盛り込まれた国民一人当たり10万円の定額給付は、正しい政策オプションの典型だ。今は、この方向の政策をさらに強化すべき段階にある。

 政府内で検討されている第2次補正予算も、基本的にはこの感染期の経済対策に当たる。とはいえ、この時点で消費減税の議論をやめる必要はない。むしろ積極的に行うべきだ。

 2021年度予算策定の今秋をターゲットにすればいいだろう。感染終息の保証はないが、それでも景気刺激の時期を見据えるいいタイミングになるのではないか。

 ともかく2次補正の話に戻ろう。27兆円規模の経済対策を最低でも盛り込むべきことは先述の通りだが、この点で提言がある。

 先日、三原じゅん子参院議員を座長とする「経世済民政策研究会」が菅義偉(よしひで)官房長官に対し、2次補正を念頭に置いた政策提言を提出した。この提言には、政府が現在検討中の2次補正を補完する有力なツールが並べられている。
菅義偉官房長官(右から3人目)に新型コロナの感染拡大に対応する経済政策に関する提言を手渡した三原じゅん子座長(同4人目)ら「経世済民政策研究会」のメンバー(同会提供)
菅義偉官房長官(右から3人目)に新型コロナの感染拡大に対応する経済政策に関する提言を手渡した三原じゅん子座長(同4人目)ら「経世済民政策研究会」のメンバー(同会提供)
 経世済民政策研究会は、もともと自民党でリフレ政策を勉強するための研究会として始められたが、新型コロナ危機に際して、感染期の経済対策を検討することになった。不肖筆者も顧問を引き受けているが、提言の基礎となったのは、研究会の参加議員による積極的な提言や議論、そして講師(原田泰、飯田泰之、上念司の3氏ら)の報告である。以下には提言の骨子だけを掲げたい。

1.国債発行による財政措置
・困窮した個人および企業の社会保険料の減免
・感染期に月額5万円の特別定額給付金の継続
・2次補正総額の半額を新型コロナ感染症対策予備費として確保


2.地方自治体に対する支援策
・新型コロナ感染症対応地方創生臨時交付金を10兆円規模に拡充
・地方債発行の後押し


3.金融政策
・日本銀行による中小企業へのマイナス金利貸出
・日銀による地方債、劣後債の買い取り


4.景気回復期の財政金融政策の在り方
・インフレ目標の4%への引き上げと積極的な財政政策との協調
・「アフターコロナ」に向けた民間投資の支援


 4点目は景気刺激期の政策であり、この点は研究会でまだ具体的に話題を詰めている最中だ。消費減税の採用や恒常的な最低所得保障(ベーシックインカム)が議論されるのはこの項目である。