2020年05月26日 14:44 公開

英ヴァージングループ傘下の宇宙開発企業、米ヴァージン・オービットは25日、太平洋上空で航空機を使った空中でのロケット発射実験を行った。ロケットのエンジン点火直後に異常が見られ、失敗に終わった。

ヴァージン・オービットは、ヴァージングループ会長のサー・リチャード・ブランソンが所有。米カリフォルニア州を拠点とする。

ブランソン氏の古いジャンボ機、ボーイング747を特別仕様に改造した輸送機「コズミック・ガール」は、25日正午ごろ、ロサンゼルス北部のモハーヴェ空港・宇宙港を離陸。左翼の下部にロケット「ランチャー・ワン」を搭載していた。

カリフォルニア州沖チャネル諸島のすぐ西側の高度3万5000フィート(約10キロ)で、輸送機は液体燃料ブースターがついた「ランチャー・ワン」を切り離した。

その4秒後、「ランチャー・ワン」はブースターのエンジンに点火し、上昇を始めた。しかし異常がみられたため、飛行テストは予定より早く終了した。

同社はツイッターで、「ランチャー・ワンは切り離し後も安定した状態を維持し、我々は第1段階のエンジンであるニュートン・スリーに点火した。その後、飛行の第1段階の初期に異常が発生した。今日収集した大量のデータをエンジニアが分析し、さらに多くのことがわかるだろう」と書いた。


ヴァージン・オービットは、小型衛星の打ち上げのための新興市場シェアの獲得を目指している。

現段階では失敗の原因は不明だが、同社はテストに先立ち、成功する可能性は50%しかないかもしれないとしていた。

初飛行では技術的問題に直面することが非常に多いことを、ロケット工学の歴史は物語っている。

同社のダン・ハート最高経営責任者(CEO)は、「テスト飛行というのはデータ収集のためであり、今では我々にはデータという宝の山がある。自分たちで設定した目標の多くを達成したが、我々が望んでいたほどではなかった」と述べた。

「とはいえ、我々は今日、大きな1歩を踏み出した。我々のエンジニアたちはすでにデータに目を通している。次のロケットテストが控えているので。我々は今回の結果から学んで調整し、まもなく実施する次のテストの準備を始める」

同社はツイッターに、次の飛行テストに使用するロケットの写真を投稿し、準備が進んでいるとアピールした。

2つ目のロケットはカリフォルニア州ロングビーチにある工場で最終組み立てが行われており、数週間以内に準備が完了するという。

https://twitter.com/Virgin_Orbit/status/1265024136604037120?s=20


ブランソン氏は飛行テストに立ち会わなかったが、ヴァージン・オービット幹部は、同氏がテスト状況を非常に注視していたと述べた。

ヴァージン・オービットの本社は現在カリフォルニア州にあるが、ブランソン氏は世界有数の小型宇宙探査機の生産国のイギリスにも拠点を置きたいと考えている。

同社は米英政府や英宇宙局、イングランド南西部の地方自治体との連携の可能性を模索している。コーンウォールのニューキー空港は、宇宙開発の拠点として理想的な場所だと認識されている。


宇宙産業の業界団体「UKスペース」代表のウィル・ホワイトホーン氏も、2000年代後半にブランソン氏のもとで働いていた際、空中発射ロケットシステムの初期の設計作業を開始した。

「今は誰もが今週のスペースX社の有人ロケットの発射に注目しているが、産業の観点から言えば、(ヴァージン・オービットも)同じように重要だ」と、ホワイトホーン氏はBBCニュースに述べた。

「新型コロナウイルスが何かを我々に教えてくれたとすれば、それは我々の世界が変化しつつあり、宇宙がその大部分を占めることになるだろうということだろう。我々は多くの産業を大気圏外に置けるかもしれない。サーバーファームを例に挙げてみよう。太陽エネルギーを利用するために宇宙に置くことができる。すべては宇宙にアクセスするためのコスト次第だが、このようなシステムによって大変革がもたらされるだろう」

(英語記事 Branson space rocket fails on debut flight