これは新型コロナでも同じで、超過死亡には新型コロナとは直接関連ない死亡者も含まれる。新型コロナ流行に伴う医療崩壊によって、他の病気の治療を受けられなかった人がそれに当たる。

 イタリアでは、2月20日~3月31日の新型コロナウイルスによる死亡者は1万2428人と発表された。しかし、過去5年間の平均と比較した同期間の「超過死亡」は2万5354人に上っていた。

 他の欧州諸国と比べ、新型コロナ対策に成功したとされるドイツでさえ、3月の「超過死亡」は3706人と、新型コロナウイルスの公式死亡者の2218人を上回っていた。これはニューヨークも同じで、ニューヨークでは医療崩壊により、少なくとも7千人がコロナ関連死したと推定されている。

 そこで、日本のコロナ死亡者数が本当に少ないのかどうかは、この「超過死亡」を確かめればいいことになる。東京の新型コロナ新規感染者は、4月に一時200人を超えたが、今月に入って大きく減少している。5月15日に9人、16日には16人、17日には5人となって、もう感染は完全に下火になったと言える。

 では、死亡者数はどうか。こちらも徐々に減ってきている。

 国立感染症研究所(感染研)では、インフルエンザ関連死亡迅速把握システムを用いた「21都市のインフルエンザ・肺炎死亡報告」を公表している。これを見ると、日本の21都市で、今年1~3月までの「超過死亡」はない。

 感染者がピークとなった4月の数字は執筆時点でまだ出ていないので、確定的なことは言えないが、日本では欧米諸国のようなことは起こっていないといえる。

 ただし、東京都だけは2020年8週目以降に「超過死亡」があり、合計すると130人ほど超過している。「グラフストック」というサイトに、そのグラフがあるので、確かめてほしい。
 
 ただ、米ブルームバーグ通信は5月14日、都内の1〜3月の死亡者が3万3106人と過去4年の同時期平均を0・4%下回ったと報じている。いずれにせよ、日本ではいまのところ「超過死亡」は見られず、死亡者数が少ないのは間違いないといえる。

 ニューヨークなどの死亡例に肥満者が多かったというのは、既によく知られている。2009年に大流行した新型インフルエンザでも、肥満者は発症と合併症リスクが高かったという。

 そのせいか、今回の新型コロナでも同様の調査研究が行われた。例えば、肥満の指数である体格指数(BMI)が高いほど、死亡リスクも高いというものだ。

 英オックフォード大の研究チームはNHS(国民健康医療サービス)の約1743万人の健康記録を分析し、新型コロナウイルス感染が原因で死亡した5683人の「コロナ死の主な要因」を分析した。それによると、BMIが40以上のコロナ死亡率は標準の2・27倍だった。

 米ニューヨーク大で市のコロナ患者4103人を調べて、肥満がリスクを増大さていることをオッズ化した。BMIIが30未満を1とした場合、30~40で4・26倍、40超で6・2倍にリスクが高まる。
2020年4月、米ニューヨークでマスクを着用して地下鉄に乗る人々(AP=共同)
2020年4月、米ニューヨークでマスクを着用して地下鉄に乗る人々(AP=共同)
 ちなみに、BMIは体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った指数で、世界保健機関(WHO)では、25以上を「過体重」30~34・9を「肥満」、35以上を「高度肥満」としている。ちなみに、日本肥満学会では25以上を肥満(メタボ)としていて、理想値は男性が22、女性が21である。

 そこで、世界各国の肥満度を見ていくと、日本は、経済協力開発機構(OECD)諸国の中で男女ともにBMIが最も低い。次に韓国が低く、最も高いのは米国の28・8で、英国が27・3で続く。スペイン、イタリア、フランスも25を超えている。ただ、100万人当たりの死亡率でトップのベルギーは25を超えていない。ちなみに、日本人のBMIは男性平均23・6、女性平均22・5だ。

 欧州諸国では、新型コロナによる死亡者のなんと半数が、介護施設に入居していた高齢者だった。米国でも死亡者の4分の1は老人施設の入居者だ。

 となると、超高齢社会の日本では、高齢者の死亡者数が増えてもおかしくない。ところが、日本では海外に比べ、高齢者施設での死亡者が少ないのである。