京都大大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大の高橋淳教授らの研究グループが唱えた説で、5月11日の夕刊フジによると、感染力や毒性の異なる三つの型のウイルス(S型、K型、G型)の拡散時期が重症化に影響したという。

 簡単に説明すると、研究チームは新型コロナウイルスに感染した場合、インフルエンザに感染しないという「ウイルス干渉」に着目した。インフルエンザの流行カーブの分析で、通常では感知されないS型とK型の新型コロナウイルス感染の検出に成功した。

 そして、日本で拡散したのはK型という初期の弱毒性ウイルスであり、欧米に拡散したのはその後に変異して感染力や毒性が高まったG型だというのだ。よって、日本に遅れて入ってきたG型は、既にK型で集団免疫ができていたため、第2波になっても感染拡大しなかったという。

 しかし、そんなに早く集団免疫が獲得できるものなのか。抗体検査が今後進めば、仮説の真偽ははっきりしそうだ。

 先の示した「主な国の確認感染者数、死亡者数」の一覧から、アジアの国を見ると、日本だけではなく、ほとんどの国で100万人当たりの死亡者数が少ないことに驚く。

 なにしろ、新型コロナウイルス発生源の中国が日本の6人より少ない3人である。アジア諸国を列記していくと、フィリピンと台湾が7人で、韓国は5人、シンガポール、インドネシア、香港は4人となる。さらに、タイは0・8人、ベトナムにいたってはゼロだ。

 こうなると、アジア人は特別で、コロナに強い何かを持っているのではという仮説が成り立つ。この仮説がさらに真実味を増すのは、同じアジアの国でも、台湾、韓国などと日本ではコロナ対策に大きな差があるにもかかわらず、結果が同じだということだ。

 ただし、アジア以外でも死亡者が少ない国はある。オーストラリアもニュージーランドも100万人当たりの死亡者は4人だ。こうなると「アジア人だから」とは言えなくなる。

 こうして、諸説を堂々巡りした末に行き着くのが、日本人は公衆衛生の観念が他の国の人々より強く、清潔好きだということだ。普段からマスクを着けるし、手もよく洗う。

 また、欧米の家屋では靴を脱がないが、日本人は靴を脱ぐ。こうした生活習慣の違いが、感染者数や死亡者数が少ない大きな要因だというのだ。

 確かに、欧米人はマスクを着ける習慣がない。今回のコロナ禍が起こる前まで、たとえインフルエンザが大流行しても、欧米人はマスクを着けなかった。

 また、文化の違いも大きいという。欧米人はハグやキス、握手を日常的に行うが、日本人はあまりしない。接触という点から見れば、この違いは大きい。さらに、食文化も違う。これが影響しているという。
2020年3月、イタリア・ミラノの駅を出発する乗客を調べる兵士ら(AP=共同)
2020年3月、イタリア・ミラノの駅を出発する乗客を調べる兵士ら(AP=共同)
 こうしたことを言われると、そうかもそれないとは思うが、どれも科学的ではない。証明しろといっても、証明しようがない。

 いずれにせよ、コロナ禍はまだまだ続く。ある一国が感染拡大防止に成功したからといって、周囲の国ができていなければ交流できないので、世界は元に戻らない。つまり、全世界が感染拡大防止に成功しない限り、コロナ禍は終わらない。

 集団免疫理論が正しいかどうかは分からないが、ワクチンと治療薬がない以上、集団免疫以外に解決しようがない。ちなみに、ワクチンは擬似感染だから、これも集団免疫獲得の一手段である。

 果たして、日本は今後どうなるのか。「検査数が世界でもダントツに低いのにもかかわらず、確認感染数も死亡者数も圧倒的に少ない」という現状が続いていき、このまま終息に向かうのか。

 そうだとしてもしなくても、 誰かこの現状を本当に解明してほしい。このまま「日本の奇跡」「日本はやはり『神の国』」で終わるとするなら、いったい私たちはなんのために「自粛」したのだろうか。そしてこの先、なんで「新しい日常」を始められるのだろうか。