松浦大悟(元参院議員)

 毎年ゴールデンウィークに合わせて行われている日本最大のLGBT(性的少数者、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)の祭典「東京レインボープライド」(TRP)。代々木公園(東京都渋谷区)をスタート地点に、渋谷や原宿をパレードしており、過去にテレビでご覧になった方も多いだろう。

 例年なら20万人を超えるイベントだが、今年は新型コロナウイルスの影響で初のオンライン開催となった。主催者は会員制交流サイト(SNS)でのハッシュタグ「#おうちでプライド」をつけた投稿を呼びかけ、性的マイノリティの当事者、当事者の家族、共感を寄せる非当事者のみなさんがそれぞれの思いをつづった。

 しかし、光があれば闇もあるのが世の常。きらびやかなお祭りの話題でかき消されてしまったが、TRPの約1カ月前に生じた「ある事件」がLGBTを二分する大論争を巻き起こしたことはあまり知られていない。そしてそれは今も火種となってくすぶっている。

 きっかけは『AsageiBiz』(アサ芸ビズ)が配信したニュースだった。記事によると、同性愛を公表している立憲民主党の石川大我参院議員が、新型コロナウイルスの感染拡大が問題になっていた3月20日の未明、ゲイタウンである新宿2丁目で警察官を相手に大騒動を起こしたというのだ。

 石川氏は午前2時ごろ、たまたま通りかかったパトカーをにらみつけ、いきなり動画で撮影し始めた。警察官がやめるように注意すると「オレは2丁目を偉そうに歩き回る警察を撮るのが趣味なんだ」「警察に肖像権はない」と挑発した。

 さらに「名前を言え! 警察手帳を撮らせろ」と大声でわめいたかと思うと、今度は自分でその場から110番通報をして別の警察官を呼び、「オレは国会議員だぞ! ビビっただろう」と権力をちらつかせた。公衆の面前でのやり取りは約1時間続いたとのこと。泥酔していた様子の石川氏は、最後は警察官になだめられ帰途に就いたそうだ。

 この報道を受けて石川氏のもとには非難が殺到した。市井のLGBT当事者からも国会議員としての自覚のなさを嘆く声が寄せられた。

 ところが、日頃から石川氏を支持している一部のLGBT活動家だけは逆だった。「警察はわざとハッテン場に張り付いている」「性的指向をもとに職質のターゲットを絞っている」と、事もあろうに警察批判を展開し、石川氏を英雄とみなす人も出てきた(ハッテン場とは、不特定多数の男性が男性同士の性行為を目的に集まる空間のこと。全国に約170店あり、都内には新宿区を中心に約70店ある)。
外出自粛要請を受け、東京・新宿の繁華街で通行人に声掛けをする警察官=2020年4月
外出自粛要請を受け、東京・新宿の繁華街で通行人に声掛けをする警察官=2020年4月
 同じくゲイであることをカミングアウトしている政治家として「これはまずい」と思った筆者は、すぐさま次のような内容をツイッターにアップした。

 警察が新宿2丁目のハッテン場前を重点的にパトロールしているのは、薬物を使うゲイがあまりにも多いからです。何でもかんでもゲイ差別と結びつけて思考停止するのではなく、どうすれば薬物との関係を断ち切れるのかみんなで考えるべきだと思います