上西小百合(前衆院議員)

 新型コロナウイルスの感染拡大対策で、国や各自治体が奔走している様子を連日メディアで見聞きする。

 安倍晋三内閣はアベノマスク2枚の送付策を打ち出したものの、いまだに配り切れていないあり様だ。大阪市の松井一郎市長は、不足する医療防護服の代用と言って雨がっぱを思いつきで集めたりしている。

 未曾有(みぞう)の出来事に「どうすれば支持率が上がるのか」と政治家たちが試行錯誤を繰り返しながら悪戦苦闘している様子が日々報じられている。ただ、報道されていなくとも、コツコツ頑張っている政治家もいることだけは伝えておきたい。

 そんな中、これまで全国的には無名であった大阪府の吉村洋文知事が、マスコミでヒーローのように扱われ始めている。そして松井氏が代表、吉村氏も副代表を務める日本維新の会の支持率も、報道に引っ張られる形で急上昇した。

 ただ吉村氏は、松井氏とともに「それって本気で言っているの?」というファンキーなコロナ対策もちょいちょい打ち出している。しかも、その手法は非常に狡猾(こうかつ)だ。

 吉村氏は矢継ぎ早にコロナ対策を発表しているが、そのために前の対策がどのような効果をもたらし、打ち出した対策が費用対効果に見合うのか、ということが全然注目されない。「させない」と言った方が正しいかもしれない。

 この維新の独特な体質は、私が衆院議員として所属した当初から感じていたことである。維新は「事後検証」や「改善」という言葉が本当に見受けられない。過去の例を挙げると、2013年に惨敗した堺市長選挙の際に、1時間程度の「カタチだけ総括会議」が開かれた。

 この会議では、松井氏や党幹部、その取り巻きに反する意見を言うものなら、すぐに恫喝(どうかつ)され、「次の公認を出さんぞ」などと脅される。そのため、基本的に何のしがらみもなく議員になった私のような人間は、意見を言えずにただ傍観している「カタチだけ」の会合だった。昔も今も、維新で改善されることは何もないのだ。

 私は一度、あまりにも理不尽な状況に違和感を覚え、党幹部に説明を求めたことがあり、それを機に疎まれ始めた気がする。「黙って言うことを聞いておけよ、正義を振りかざしやがって」ということなのだろう。

 そういえば、丸山穂高衆院議員がまだ維新に所属していた17年、「維新は総括と代表選が必要」と会員制交流サイト(SNS)で発信した際に、当時の橋下徹代表が烈火のごとく怒り狂ったことがある。いわく「維新は代表任期がない代わりに、大型選挙の後は臨時党大会で代表選をやるかどうかを毎回決める仕組みにした」ということだが、残ったものは度量の小ささだった。
大阪戦略調整会議の事前協議で発言する橋下徹・大阪市長(左)=2015年9月24日、大阪市中央区(竹川禎一郎撮影)
大阪戦略調整会議の事前協議で発言する橋下徹・大阪市長(左)=2015年9月24日、大阪市中央区(竹川禎一郎撮影)
 丸山氏の女性に対する卑猥(ひわい)な発言や飲酒による暴力沙汰、国家の信用を貶(おとし)める失言などを鑑みれば、彼に議員としての素質は皆無だと思う。しかし、この発言に関しては丸山氏が正しい。

 代表選の実施すら党幹部の一存で決められてしまうという、自民党も真っ青のありえない環境だ。しかも、それを恫喝で正当化してしまうのだから、いかに気に入らない意見は封じ込めて、ゴリ押しで前に進んでいく体制であるか、お分かりになるだろう。