2020年06月01日 16:55 公開

ジョナサン・エイモスBBC科学担当編集委員

米民間の宇宙船「クルードラゴン」は31日、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングし、飛行士のダグ・ハーリー氏とボブ・ベンケン氏がISSに入った。

宇宙開発企業スペースX(エックス)が製造し運航するクルードラゴンのカプセルは、中国の上空422キロで、周回軌道を回るISSの船首部分にドッキングした。

漏れの有無や圧力、温度などを確認した後、2飛行士はISSに入り込み、滞在中のロシアとアメリカの飛行士と対面した。

ハーリー氏とベンケン氏が乗った宇宙船は、30日にフロリダ州で打ち上げられた。

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アメリカで宇宙船が打ち上げられたのは、米航空宇宙局(NASA)がスペースシャトルの使用を9年前に終了してから初めてとなる。

NASAは、「NASAの飛行士が民間の宇宙船で宇宙ステーションに入るのは人類史上初となる。ベンケン飛行士とダグ飛行士はスペースXのドラゴン・エンデヴァー宇宙船でついに周回軌道を回る研究施設に到着した」とツイートし、その瞬間の動画を公開した。

https://twitter.com/NASA/status/1267144838153211905


今回のミッションは、NASAが民間企業の移動サービスを有料で利用する時代に入ったことを意味する。NASAが今後、ISSを往復する宇宙船を所有し運航することはない。

ISSへの往復は今後、スペースXのような企業が独占的に手がけることになる。同社はカリフォルニア州ホーソーンに本社があり、テクノロジー関連で財を成したイーロン・マスク氏が率いている。

クルードラゴンとISSのドッキングは、グリニッジ標準時間31日午後2時16分(日本時間同11時16分)に確認された。スペースXが製造したロケット「ファルコン」に乗せ、ケネディ宇宙センターから打ち上げられてから19時間後のことだった。

ドッキングは完全に自動で行われ、ハーリー氏とベンケン氏は何もしなくてよかった。ただ、手動で接近する飛行も訓練はしていた。


クルードラゴンとISSのドアは、グリニッジ標準時間31日午後5時2分(日本時間6月1日午前2時2分)に開かれた。ハーリー氏とベンケン氏が浮きながらドアを通ると、ISS船長でNASAの同僚のクリス・キャシディ飛行士、ロシアのアナトリー・イワニシン飛行士、イワン・ワグネル飛行士に出迎えられた。

ハーリー氏は額にできたあざをなでながら、「ここに来て、クリスと仕事ができるのがうれしい。私たちもここになじんで、あまりへまをしないようにしたい」と述べた。

「7時間くらい」寝た

ベンケン氏は、2人とも十分に休養できたので、任務開始の準備は万端だと話した。

「おそらく7時間かそこらたっぷり(睡眠を)取った」と同氏は、テキサス州ヒューストンのミッションコントロールに音声回線で報告した。「初日の夜はいつもちょっとうまく寝られないが、ドラゴンは乗り心地がよく、空調も快適で、素晴らしい夜を過ごした。再び地球低軌道に戻ることができて興奮している」。

NASAのジム・ブライデンスタイン長官は、2人の任務が順調なことを祝福した。「世界中がこのミッションを見守った。あなたたちが私たちの国のため、そして世界を元気付けるためにしたことのすべてを、私たちは非常に誇りに思っている」。

スペースXは昨年、新しい宇宙船の最初のデモ飛行を実施したが、乗船したのは人形だけだった。今回が、人を運ぶ初めての旅となる。

ハーリー氏とベンケン氏の任務は、宇宙船のすべてのシステムを試し、エンジニアに通知することだ。

スペースXとNASAは、有人飛行を順調に成功させ、26億ドル(約2800億円)規模の契約を結ぶ次の段階へと速やかに移りたい考えだ。その段階では、飛行士計6人を運ぶ「タクシー」としての航行が何回か予定されており、8月終わりにも最初の打ち上げが見込まれている。


米国旗を持ち帰ることに

ハーリー氏とベンケン氏がISSに到着したことで、スペースシャトル計画最終年の2011年のメンバーによって設置された米国旗が回収されることになる。

スペースシャトル「アトランティス」の乗組員らは、後進を励ますためにこの国旗を残した。1981年の最初のスペースシャトルの飛行の際にも運び込まれたこの国旗は、地球に戻され、次の地球の軌道の外へと行く計画へと引き継がれる予定だ。

ハーリー氏とベンケン氏は米宇宙飛行士らの伝統に従って、宇宙船クルードラゴンに名前を付けた。2人は「エンデヴァー」と命名。NASAと民間パートナーによる新たな船出を祝う意味と、2人が2000年代後半に乗船したスペースシャトル「エンデヴァー」の米宇宙開発への貢献に感謝する気持ちを込めた。


ハーリー氏とベンケン氏がどれくらいISSに滞在するかは不明確だが、長くて4カ月ほどとみられる。

彼らはその間、現在のISSエクスペディション63(63次長期滞在)の一員となり、日々の科学的な調査やメンテナンスに従事する。

ISSのキャシディ船長は、新たな搭乗員が日曜日に到着したことから、通常は土曜日に行う掃除ができなかったと冗談を言った。「次の週末に埋め合わせをしよう」と船長は言った。




(英語記事 Astronauts on historic mission enter space station