2020年06月02日 12:57 公開

米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさん(46)が白人警官に押さえつけられて死亡した事件について、担当の郡検視官事務所は1日、正式な死亡検案書を公表し、殺人と断定した。事件をめぐっては、アメリカ各地に抗議デモが拡大している。

ヘネピン郡検視官事務所は、フロイドさんはミネアポリス市警の警官に押さえつけられている間に心停止に陥ったとし、フロイドさんの死因は「法執行機関の抑圧、拘束、首の圧迫による心肺停止」だという所見を示した。

検視官事務所は、フロイドさんに心臓病の疾患があったことと、直近に薬物を使っていたことの証拠もあると指摘している。

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正式な検視結果が発表される前には、フロイドさんの遺族が私的に雇った著名な法医学者が、調査結果を明らかにしていた。

この事件では、ミネアポリスの警察官だったデレック・チョーヴィン被告(44)が第3級殺人罪と故殺罪で起訴されている。今週にも出廷する予定。

事件に関与した他の警官3人も懲戒免職となっている。

検視結果の内容

フロイドさんの遺族が雇った元ニューヨーク市検視官、マイケル・バーデン医師は、フロイドさんは首と背中を圧迫されて窒息死したという所見を示している。

バーデン医師は1日の記者会見で、「フロイドさんの死因は、首を圧迫されたことによる窒息だと私は考える。首を圧迫されると、脳への酸素供給が阻害されることがある。加えて、背中を圧迫されれば呼吸がしづらくなる」と述べた。

遺族の代理人、ベンジャミン・クランプ弁護士は、「デレック・チョーヴィン元警官に首を圧迫されたり、ほかの2人の警官から体を圧迫されたりしていなければ、フロイドさんは間違いなく今でも生きていただろう」とし、「救急車がフロイドさんの霊柩車になってしまった」と述べた。

弁護士は、元警官には殺意があったとして、起訴罪状より量刑の重い第1級殺人に相当すると主張している。

大統領は軍の投入示唆

チョーヴィン被告はフロイドさんが「息ができない」と訴えた後も、首を膝で圧迫し続けた。その様子を捉えた動画がソーシャルメディアなどで拡散し、黒人への警察暴力に対する長年の根強い怒りが再燃。連日の抗議デモは1日にも各地で続き、アメリカでは社会不安が高まっている。

こうした中、ドナルド・トランプ米大統領は1日夕、ホワイトハウスで短く演説し、「私はすべての知事に対し、市内を制圧するのに十分な数の州兵を配備することを強く勧めている」と発言。

「もし市や州が、住民の生命と財産を守るため必要な行動を拒否するなら、私が合衆国軍を投入して、代わりに問題を速やかに解決してあげる」と表明した。

「自分は法と秩序の大統領で、あらゆる平和的抗議に連帯する」と強調し、「法に従うアメリカ人の権利」を守り、「この国に広がった暴動と無法状態をただちに終わらせる」と述べた。

さらに、「この数日、我々の国はプロの無政府主義者、暴力的な群衆、放火犯、窃盗犯、犯罪者、暴徒、アンティファその他に、がんじがらめになっている」、「しかし一部の州や地元政府は、住民を守るために必要な対応をとってこなかった」と批判した。

「反ファシズム」を掲げる左派活動家たちの連携運動、アンティファを「テロ組織」に指定する方針のトランプ氏は、演説でアンティファの行動を「テロ」と呼び、テロ主導者は厳しい刑事罰と長期刑で処罰されることになると強調した。

州兵は連邦政府軍の予備役で、国内の緊急事態にも対応する。これまでに約1万6000人の州兵がこの騒乱に対応するために配備されている。

トランプ氏は演説に先立ち各州知事たちと行ったビデオ会議で、知事たちのデモ対応が「弱腰」だと批判。「はるかに厳しく」対処すべきだと主張していた。また、州兵を活用するよう求めていた。

米報道によると、トランプ氏はこの会議で、抗議デモに関わった「人物を逮捕し、追跡し、10年間は刑務所に入れなければならない。こういった状況に二度と直面することはないだろう」と述べたという。

抗議排除で発砲、男性死亡

全米各地で行われるほとんどの抗議行動は平和的なものだが、機動隊と抗議者の衝突も相次いでいる。パトカーや建物が燃やされたほか、複数カ所で略奪行為も起きた。

数十の都市が外出禁止令を出したものの、デモや衝突は夜間にも続いた。

ソーシャルメディアで広く共有されている多くの動画では、機動隊がデモ参加者に対し過剰対応する様子が移っている。また、ジャーナリストを狙った攻撃が数十件報告されている。

ケンタッキー州ルイヴィルでは1日未明、駐車場で抗議する集団を警察と州兵が排除しようとする際に発砲があり、現場に面した人気飲食店を経営する黒人男性、デイヴィッド・マカティーさん(53)が死亡した。

グレッグ・フィッシャー市長は、発砲に関わった警官たちがボディカメラの電源を入れていなかったことは「組織的な欠陥」だと批判し、警察本部長を解任した。

(英語記事 Floyd death homicide, official post-mortem says