2020年06月03日 11:52 公開

フランスで2016年に黒人男性が警察に拘束され死亡したことに対する抗議行動が2日、国内各地であり、数万人が参加した。新型コロナウイルス対策で警察は集会を禁じたが、それを無視した格好となった。

アダマ・トラオレさん(当時24)は4年前、パリ郊外で警官に逮捕された。警察車両の中で意識を失い、警察署で死亡した。

トラオレさんの死は、アメリカで警官に取り押さえられる際に死亡したジョージ・フロイドさんの事件に類似したものとして、フランスで再び注目されている。フロイドさんの死を機に、全米では各地で抗議行動が相次いでいる。

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パリ郊外ではこの日、大規模集会の禁止令に逆らって、約2万人が抗議行動に加わった。はじめは平和的に行進していたが、やがて暴力的になり、警官隊に石が投げられ、警官隊は催涙ガスを発射した。

ツイッターには、群衆に向けて催涙ガスが使われる様子が投稿されている。抗議者たちはバリケードを作り、警官隊に物を投げつけたという。火災や道路閉鎖が起きていることを伝えるものもある。

https://twitter.com/Raph_journalist/status/1267895942537232384


参加者らは当初、抗議行動の許可を求めたが、警察はこれを拒否した。新型ウイルス対策で、公の場所における集会は10人までに制限されている。

パリ警視庁のトップは、警察は人種差別主義だとの批判を、断固として否定した。

抗議デモは、マルセイユやリヨン、リールなどの都市でも発生。「Black Lives Matter」と書かれたプラカードを手にした参加者もいた。この言葉を掲げた運動はアメリカで生まれ、フランスやイギリスなど他国へも広がっている。

「Black Lives Matter」は、2013年から2014年にかけて、アメリカの黒人に対する差別や暴力に抗議する運動の合言葉となり、2014年8月に南部ミズーリ州ファーガソンで18歳の黒人男性が白人警官に射殺されたのを機に、全国的な抗議運動と共に広がった。「白人と同じように黒人の命にも意味がある」という意味が込められている。

警官が体重をかけて押さえた

トラオレさんの死をめぐっては、警官の1人が、同僚2人とともにトラオレさんを体重をかけながら地面に押さえ付けたと調査で述べた。

公式報告書では、トラオレさんの死因は心不全で、基礎疾患が関係した疑いがあるとされた。トラオレさんを拘束した警官たちは先月28日、警察の調査により、責任はないとされた。

トラオレさんの死後数日間にわたり、パリで激しい抗議行動が続いた。

その後もトラオレさんの事件は、警察の暴力に対する抗議行動のスローガンとなっている。フランスでは少数民族の若者らが、警察のターゲットになっていると訴えている。

AFP通信によると、トラオレさんの姉妹のアサさんは抗議行動の参加者らに、「私たちはいま、トラオレの家族の闘いだけを訴えているのではない。これはみんなの闘いだ。ジョージ・フロイドのために闘うとき、アダマ・トラオレのためにも闘うのだ」と述べた。

一方で、パリ警視庁のディディエ・ラルマン警視総監は警官たちへの手紙で、「ソーシャルネットワークや特定の活動団体が、警察暴力や人種差別を再現なく攻撃している」なか、警官たちが感じているに違いない「苦しみ」に共感すると書いている。

(英語記事 French anti-racism protests defy police ban