2020年06月03日 14:08 公開

ジェイク・ホートン、BBCリアリティ・チェック(ファクトチェック)

アメリカで黒人男性が警官に拘束されて死亡したことへの抗議行動が各地に拡大する中、ドナルド・トランプ大統領は政情不安を収束させるため、軍を出動させると警告している。

トランプ氏は、「市や州が必要な行動を取るのを拒否するなら(中略)米連邦軍を出動させることになる」と発言した。


しかし州知事たちからは、州の許可なく連邦軍を送り込むことはできないとの声も出ている。

大統領は軍を投入できる?

特定の状況では可能、というのが短い答えだ。

すでに、連邦軍の予備役である州兵から何千人かの兵士が投入されている。

州兵が抗議行動の鎮圧のために出動しているのは20州を超える。ただ、州兵の展開は市や州の要請に基づいている。

しかし、19世紀に成立した連邦法には、首都ワシントンの連邦政府は州の許可なく介入できるとする項目が含まれている。


「反乱法」は、大統領が州の状況について連邦法の執行が不可能と判断した場合や、市民の権利が脅かされているとみなした場合、州知事の承認は不要だと定めているのだ。

この法律は1807年に制定された。大統領に対し、「インディアンの敵対的襲撃」への防御として、国民軍の出動命令を認めるものだった。その後、国内の騒乱対応や市民権を守る目的でも連邦軍を活用できるよう、権限が拡大された。

1878年に可決した別の法律では、国内における連邦軍の出動には議会の承認が必要だと定められている。ただ、テキサス大学で法律を教えるロバート・チェズニー教授はBBCに、大統領が連邦軍を派遣するには反乱法で規定されている法的権限で十分だと述べた。

現在の状況では、大統領は州の承認を求めることなく軍を出動させる法的権限をもち得ると、広く受け止められている。

チェズニー氏は、「肝心なのは、大統領の決定ということだ。州知事は大統領に支援を求める必要はない」と話す。

反乱法が持ち出されたことはある?

連邦議会調査局によると、反乱法が根拠にされたことはこれまで何十回もあるが、ここ30年ほどの間にはない。

最後に使われたのは1992年のロサンゼルス暴動の際で、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領が活用した。

反乱法は公民権運動時代の1950~1960年代にわたって、3人の大統領によって持ち出された。州知事が反対していたこともあった。

ドワイト・アイゼンハワー大統領は、1957年に反乱法を根拠に、アーカンソー州の学校での抗議に連邦軍を送り込もうとして反対にあった。この学校では、白人と黒人の児童が一緒に授業を受けていた。

1960年代終わりからは、反乱法の利用はまれになった。2006年には、前年のハリケーン「カトリーナ」を受けて、軍の支援をより効果的にすることを目指し、議会が同法を修正した。しかし、州知事たちが反対し、修正はのちに取り消された。

(英語記事 Can Trump send in the army?