
2020年06月03日 16:49 公開
ミシェル・ロバーツ、健康担当編集長、BBCニュースオンライン
新型コロナウイルスに感染した入院患者に、イブプロフェンが効果があるかを調べる試験を、イギリスの科学者たちが進めている。
ロンドンのガイズ・アンド・セント・トマス病院とキングス・コレッジの共同チームは、抗炎症薬で鎮痛薬としても使われるイブプロフェンについて、呼吸困難の治療に役立つ可能性があるとみている。
また、この薬を使った低コストの治療法により、患者たちは人工呼吸器を使わなくて済むようになるとしている。
動物実験で効果
「リバレイト」(「解放する」の意)と名づけられた試験では、患者の半数が通常の処置に加え、イブプロフェンを投与される。
使用されるイブプロフェンは、一般的な錠剤ではなく、特別に製剤されたものになる。関節炎などの症状がある人には、すでにこの脂質カプセルに入ったイブプロフェンを投与している人もいる。
動物実験では、重いコロナウイルス感染症の合併症の1つである急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療に効果がある可能性が示された。
キングス・コレッジ・ロンドンのミトゥル・メイタ教授は、「得られた証拠が実際に予測と合致することを示すため、試験が必要だ」と述べた。
一時は悪影響の懸念も
新型ウイルスの世界的流行の早い時期には、イブプロフェンは軽症の感染者には悪影響を及ぼす恐れがあると一部で懸念されていた。
その懸念は、フランスのオリヴィエ・ヴェラン仏保健相が、イブプロフェンなどの非ステロイド抗炎症薬を服用すると症状が悪化するかもしれないと述べたことで高まった。ヴェラン氏は、代わりにパラセタモールを服用するよう呼びかけた。
イギリスの人体用医薬品委員会はすぐに検証し、イブプロフェンはパラセタモール同様、コロナウイルスの症状がある人が服用しても安全だと結論づけた。どちらの薬も発熱を下げ、インフルエンザのような症状に効果がみられるとした。
国民保健サービス(NHS)は患者に対し、パラセタモールのほうがイブプロフェンより副作用が少なく、多くの人にとってより安全な選択であることから、まずパラセタモールを服用するよう勧めている。例えば胃潰瘍がある人は、イブプロフェンは服用すべきではないとしている。
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