2020年06月03日 16:46 公開

イギリスのボリス・ジョンソン首相は、中国が反体制活動を禁じる「香港国家安全法」を施行した場合、イギリスは移民規則を変更し、香港人数百万人に対して「英市民権を獲得する道」を開く方針だと、3日付の英紙ザ・タイムズで明らかにした。

ジョンソン首相は英紙タイムズへの寄稿で、イギリスは香港との関係を維持「せざるを得ない」と述べた。

国家安全法とは反逆や扇動、破壊行為などを禁止することを目的としたもので、中国が独自の治安機関を香港に設置できるとの規定も盛り込まれている。

この国家安全法をめぐり、中国は諸外国から批判されている。

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かつてイギリスの植民地だった香港は、言論の自由や表現の自由など、中国大陸ではみられないような権利を享受している。これは、「一国二制度」の下に1997年に香港を中国に返還するという、1984年のイギリスと中国との合意に基づくもの。

しかし多くの香港人は、国家安全法が、この合意で定められた香港の特別な地位に終止符を打つのではないかと懸念している。

また、香港で中国政府の権威を弱体化させる行為が犯罪とみなされる可能性がある。

イギリスはすでに、中国が同法を施行し、香港から大勢が脱出する事態になった場合に備え、アメリカやオーストラリアなどと対応を協議している。

ジョンソン首相は3日付のザ・タイムズの中で、中国が同法を施行した場合、英国海外市民旅券(BNO)を保有する香港人に認めているビザなしの英国滞在期間を、現行の6カ月から12カ月に延長すると述べた。

BNOは、香港がイギリスの植民地だった時代に香港人に対して発行されたもので、イギリス人が保有する旅券とは異なる。英国内での居住や就労は認められていない。

現在、約35万人の香港人がBNOを保有している。ほかに約260万人に取得資格がある。

BNO保有者には今後、就労を含め、これまで以上の権利が与えられることとなる。

これにより、「BNO保有者には英市民権を獲得する道が開かれる可能性がある」としている。

ジョンソン氏は、「イギリスは(香港を)見捨てたりしないだろう」とし、この移民規則の変更は「英国史上最大規模のビザ制度変更の1つになる」と付け加えた。

「こうした変更が必要だと証明されれば、英政府は進んでこの対応を取る」

「香港の多くの人が、中国が維持すると約束していた自分たちの生活様式が脅かされていると不安に思っている」

「中国が、香港の人々の恐怖を正当化するために突き進むのであれば、イギリスは肩をすくめて見捨てることはできない。そうする代わりに我々は義務を負い、代替案を提供するだろう」

国家安全法をめぐっては国際社会から幅広い批判が上がっているが、今回の英政府の発表は、この法に対するイギリスの反発がいっそう強まったことを示している。

ドミニク・ラーブ英外相は2日、香港から大勢が「脱出」する可能性を念頭に、諜報協定UKUSA(別名ファイブ・アイズ)を結ぶ5カ国(イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)と対応を協議中だと明らかにした。

ラーブ外相は中国に対し、香港の自治と繁栄を脅かす計画を再考するよう求めた。

イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで多くの有力下院議員は、国家安全法が人権にどう影響するのかを監視するために、駐香港特使を任命するよう国連に求めた。

今週初めには、7人の元英外務相がジョンソン首相に対し、対応を調整するために国際的な提携を結ぶよう求めた。

(英語記事 UK to offer citizenship 'route' to HK residents