2020年06月04日 12:34 公開

米運輸省は3日、中国の航空会社によるアメリカへの旅客便の運航を6月16日から禁止すると発表した。中国が米航空会社による中国便の運航を拒否したことへの対抗措置という。アメリカと中国は新型コロナウイルスへの対応や香港の自治をめぐり対立を続けている。

アメリカへの運航禁止の対象となるのは、中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空、海南航空の4社。これまでは、新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)の最中も便数を抑えつつ、米中間の運航を継続していた。

実際に中国の航空会社によるアメリカ便を停止するには、ドナルド・トランプ米大統領の最終承認が必要となる。

トランプ大統領は、不公正な貿易慣行や新型ウイルス対応、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」などをめぐり、中国を繰り返し非難している。

米政府の発表について、ワシントンの中国大使館はすぐにコメントしなかった。中国当局は以前、新型ウイルスを制御するために導入した制限措置について、すべての航空会社に適用されるので公正だと主張していた。

「公正かつ平等な機会」

中国政府は今年3月、国内外の航空会社に対し、中国とほかの国を結ぶフライトを1路線、週1往復に限定すると発表。3月12日時点の運航サービスの度合いを超えてはならないとした。

米運輸省は、この制限措置は実質的に米航空会社の運航を禁止したとしている。米航空会社はパンデミックや、トランプ氏が中国からのほぼすべての渡航者の入国を禁止したことを受け、今年2月に米中間のサービスを自主的に一時停止していた。

同省は、今月から米中間の運航を再開するという米航空会社からの申請を中国が認めなかったのは、1980年に結んだ民間航空機の定期便就航などを定めた合意に反するものだと主張した。

「このような状況において、米中の航空会社間の競争バランスや公正かつ平等な機会を回復するために、同省が対応する必要があると、我々は結論付けた」と、米運輸省は説明した。

「我々の最重要目標は、この状況を長引かせることではなく、むしろ環境を改善することだ」

米中関係に打撃

米国立安全保障シンクタンク「新アメリカ安全保障センター」アジア太平洋安全保障プログラムの責任者、ダニエル・クリマン氏は、米政府による措置が実施されれば、米中間の渡航や貿易、そのほかの交流に打撃を与えることになると説明。ただ、米中関係はすでに破綻しかけていると指摘した。

クリマン氏は技術の販売を制限しようとするアメリカの試みや、米中貿易戦争を挙げ、「我々はすでに、アメリカと中国の分断に直面している」、「このような気運はすでに高まってきていた」と述べた。。

中国共産党の機関紙・環球時報は先月、中国はここ数週間で一部の国からのチャーター便に対する制限を緩和しようとしているが、アメリカは含まれていないと報じた。

当局は同紙に対し、中国政府はアウトブレイク(大流行)を制御するよりよい対策は保留し、通常のフライトを増やすことも検討するだろうと述べた。

カリマン氏は、6月16日より前に米中が問題を解決できる可能性もあるが、アメリカの措置が施行されれば修復は難しくなると指摘した。

米航空会社は歓迎

今年1月時点では、アメリカと中国を結ぶフライトは1週間に約325往復運航されていた。アメリカによると、3月末からは約34往復になったという。

今月からの中国便の運航再開を目指していた米デルタ航空は、米政府の決定を歓迎しているという。

「我々は、我々の権利を行使し、公正さを確保するための米政府の対応を支持し、感謝する」

中国で取り引きを行う米大企業約200社を代表する米中ビジネス協議会(USCBC)は、「民間航空機の運航はアメリカと中国をつなぐ重要な架け橋を提供している。パンデミック以前では、ビジネスや休暇、就学、そして現地で直接経験することによって他国について学ぶという最も重要な目的のために、年間数百万人もが海を越えていた」と述べた。

「紛争や疑念、誤解が生じている時にこそ、渡航は重要だ。我々は米中両政府に対し、両国間を行き来するフライトを再開するよう求める」

(英語記事 US to ban passenger flights from China