2020年06月05日 12:59 公開

中国の民主化運動が軍によって鎮圧され、多数の死者が出た天安門事件から31年目の4日、香港では当局の禁止令にもかかわらず、大規模な追悼集会が行われた。

警察はヴィクトリア公園の周りにバリケードを作ったが、一部の民主派の抗議者がこれを壊し、ろうそくをともす集会を開いた。

警察は新型コロナウイルス対策を理由に、今年の追悼集会を禁止していた。

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一方、香港議会(立法会)ではこの日、国歌条例案が可決された。この条例では、国歌を侮辱した場合に罰金や最長3年の禁錮刑が科せられる。

採決に先立ち、議員2人が異臭のする液体を議場にまく騒ぎがあった。この議員らは、中国政府が香港への統制を強めていることに抗議するとともに、天安門事件を追悼したかったと話した。

中国は先月、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で採択。香港返還以来の「一国二制度」の崩壊を招く可能性があるとの懸念がが高まっている。

なぜ追悼集会が禁止に?

中国国内ではこれまで、香港とマカオでのみ、天安門事件に関する行事を開くことができた。それ以外の地域では、国民が遠まわしに天安門事件に言及することさえ、政府が禁じている。

香港では1990年以降、毎年追悼集会が開かれており、何万人もの市民が参加している。しかし警察は今年、小規模の集会がその場で発生するのを阻止するために3000人の治安部隊を投入すると地元メディアに伝えていた。

こうした中、ヴィクトリア公園に集まったデモ参加者は「光復香港・時代革命(香港を解放せよ・革命の時代だ)」、「結束一党専政(一党政治を終わらせよう)」といった民主化のスローガンを叫んだ。

集会に参加した74歳の男性は、「6月4日の事件の犠牲者を思い出すために30年間、追悼に参加してきたが、今年は特に重要だと感じている」と話した。

「なぜなら香港はいま、北京で起こったように、同じ政権から似たような圧力を掛けられている」

ろうそくをともす追悼は香港の別の場所でも行われた。旺角地区にも数百人が集まったが、ロイター通信によると、バリケードを作ろうとした参加者と、催涙スプレーで散会させようとする警察との間で小競り合いがあった。

香港での天安門事件追悼集会で衝突があったのはこれが初めてだという。警察は数人を逮捕したとしている。

香港の新型ウイルス流行を受けた制限では、8人までの集会が認められている。しかし警察筋は、複数のグループが「共通の目的」で集まっていた場合には移動を命じるとしている。

アメリカと台湾はこの日、中国に対して天安門事件の謝罪をするよう求める声明を発表した。

台湾の蔡英文総統はツイッターで、「世界中で1年は365日と定められているが、中国では意図的にある1日が忘れ去らされている」と述べた。

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官も、天安門事件の生存者と撮った写真をソーシャルメディアに投稿した。

これに対し中国の外交部は、謝罪要求は「全くばかげている」と述べた。

趙立堅外交官は、「70余年前に新しい中国が始まって以降の素晴らしい成果が、中国がたどってきた道が完全に正しいものだと証明している」と話した。


<解説>来年は追悼集会を行えるのか? ――グレイス・ツォイ、BBCワールドサービス(香港)

香港の天安門事件追悼集会は、常に電光スクリーンや音響設備がそろった、非常に組織だったイベントだった。多くの演説があり、献花があった。

しかし今年は違った。参加者が集まるまでは、ヴィクトリア公園のサッカー場には金属の柵が張りめぐらされていた。

集会は禁止とされていたにも関わらず、公園には緊急事態だという気持ちで数万人が集まった。

集会に参加した20代のエイミーさんは、「国家安全法が可決し、私たちの集会の自由はなくなってしまった。でも歴史が忘れ去られるのを認めるわけにはいかない」と語った。エイミーさんは追悼に参加するのは今回が初めてだという。

現地時間の午後8時、人々は白いろうそくや携帯電話の明かりをともし、黙とうを捧げた。

また、「光復香港・時代革命(香港を解放せよ・革命の時代だ)」、「一个香港・一个国家(ひとつの香港、ひとつの国)」といったスローガンが叫ばれた。

一方で、来年以降も追悼集会が許されるのかという疑問の声が多くの人から上がっていた。


(英語記事 Tens of thousands defy ban to mark Tiananmen in HK