2020年06月05日 14:12 公開

米ジョージア州ブランズウィックで今年2月、ジョギングをしていた黒人男性が白人の親子に射殺される事件があり、殺人罪で起訴された被告の1人がアーベリーさんを撃った後に人種差別的な発言をしていたとされることが4日、明らかになった。

射殺されたのは、アフマド・アーベリーさん(当時25)。捜査官によると、アーベリーさんが地面に倒れている中、トラヴィス・マクマイケル被告は軽蔑やののしりの言葉を口にしていたという。

アーベリーさんは2月23日、ジョギング中にトラヴィス被告とその父親に追いかけられた。

裁判所は、マクマイケル親子ともう1人の被告について、殺人罪で裁判を開くのに十分な証拠があるとの判断を示した。

事件発生から2カ月以上たった今年5月、当時の様子を捉えた動画がオンライン上に流出したことで、この事件に対して激しい怒りの声が広がった。

4日にグリン郡の治安判事裁判所で開かれた予備審問で、ウォレス・ハレル裁判官は検察が証言と証拠を提示した後、被告3人の裁判を開くことを決めた。

トラヴィス被告と父親で元警察官のグレゴリー・マクマイケル被告は殺人罪で、ウィリアム・ブライアン被告は殺人と逮捕・監禁の罪に問われている。3人は起訴内容を否認している。

裁判所前には、アーベリーさんの死亡をめぐり抗議する人々が集った。

アメリカ各地では、武器を所持していなかった黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に首を圧迫されて死亡した事件を受け、黒人に対する暴力に抗議する大規模なデモが起きている。

捜査当局の主張

ジョージア州捜査局のリチャード・ダイアル特別捜査官は、トラヴィス被告がアーベリーさんを撃った後に人種差別的発言をしていたと、ブライアン被告が証言したと述べた。

「ブライアン被告は、警察が現場に到着する前に起きた発砲の後、アーベリーさんが地面に倒れている状況の中で、トラヴィス被告の発言を聞いたと証言した」

ダイアル特別捜査官によると、トラヴィス被告はソーシャルメディア上でも同様の差別発言を何度もしていたという。

さらに、ブライアン被告の携帯電話に人種差別的なテキストメッセージがあるのを検察当局が見つけたという。

ダイアル特別捜査官は、被告3人がジョギング中のアーベリーさんをピックアップトラックで追い回していた当時の状況を説明。アーベリーさんは何度も逃げようとしたが、トラヴィス被告がアーベリーさんを3度撃ったという。

トラヴィス被告の弁護人から、同被告の行動は自己防衛によるものだった可能性はないのか問われると、ダイアル特別捜査官は、自分を守ろうとしていたのはアーベリーさんの方だと答えた。

「アーベリーさんの判断は、ただ逃げるためのものだった。逃げられないと感じ、被告と対決することを選んだと、私は考える」

アーベリーさんに何があったのか

アーベリーさんと被告の争いが始まる直前、拳銃と散弾銃を所持したマクマイケル親子はピックアップトラックに乗って、ジョージア州サティーラ・ショアーズでアーベリーさんを追いかけた。

グレゴリー被告は警察に対し、地元で発生した一連の強盗事件の容疑者にアーベリーさんが似ていると思ったと述べた。

5月5日、ブライアン被告が当時撮影した36秒の動画がオンライン上に流出。アメリカ全土で激しい怒りの声が上がり、3人が殺人容疑で逮捕されることとなった。ブライアン被告はアーベリー氏の後ろを車で走行しながら動画を撮影していた。

動画では、並木道をジョギングするアーベリー氏を、車に乗ったマクマイケル親子が待ち伏せしているように見える。

その後、トラヴィス被告とアーベリーさんが取っ組み合いを始め、アーベリーさんは地面に倒れた。

3人はアーベリーさんが殺害されてから2カ月以上もの間、訴追されずにいた。州警察は動画が拡散されたことを受け、捜査を開始した。一方、グリン郡警察は動いていない。その後、ジョージア州捜査局が訴追した。

(英語記事 Man 'used racial slur' after shooting black jogger