2020年06月05日 15:01 公開

イギリスの航空最大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は4日、新型コロナウイルス流行を受けて同国への渡航者を隔離する計画について、プリティ・パテル内相との会談を拒否した。

政府は先に、6月8日から同国へのすべての渡航者に14日間の自主隔離を義務づけると発表。違反すれば1000ユーロ(約13万8000円)の罰金を科すとした。

しかし、パンデミックで財務危機にあるBAは、隔離施策は「航空業界にさらなるダメージを与える」としている。

BAの親会社であるインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は、会議不参加の理由を明かさず、それ以上のコメントも拒否した。

ただBAは、隔離計画に関して政府が航空会社側と十分に協議しなかったとして、いら立っていると報じられている。

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BBCは内務省にもコメントを求めている。

パテル内相やケリー・トルハースト航空次官とのビデオ会議には、格安航空イージージェットやヴァージン・アトランティック、ヒースロー空港といった航空業界の各社のほか、鉄道や船舶業界からも代表が参加した。

BAはこのところ、新型ウイルス流行を受けた雇用維持制度を利用しながら人員整理を行ったことについて、議会で大きく批判されている。

BAは雇用維持制度で3万人分の給与支払いを取り付けた数週間後に、1万2000人の人員整理と、残った従業員の就業規則の厳格化を発表した。

トルハースト次官は、こうした「信頼を損なう」行いについて説明責任があると指摘。

「この制度は、納税者に従業員給与を肩代わりさせつつ、その従業員が働けない間に解雇を突きつける企業のためのものではない」と話した。

業界筋によると、BAは「まともに扱われておらず、会談は時間の無駄」だと考えているという。

計画に批判集中、「エアブリッジ」求める声も

政府はこの隔離施策で新型ウイルスを食い止められるとしているが、与党議員からも航空業界へのダメージや、夏休みの観光客減少を懸念する声が上がっている。

また、パンデミックで休業を余儀なくされていた観光業界からも批判が出ている。

ビデオ会議でパテル内相は、「人命を守ることは常に最優先事項だが、セクターへの影響も理解しているし、協力してもらいたい」と話した。

しかし、英最大の空港運営会社スイスポートのトップは、隔離計画は観光セクターにとって「必殺の一撃」になるだろうと述べた。

格安航空ライアンエアーのマイケル・オレアリー最高責任者(CEO)も同様に、「欧州からの渡航者を大きく減らしてしまう」と懸念している。

ヴァージン・アトランティックの広報担当者は、「従業員と顧客の安全確保は常に我々の最優先事項で、公衆衛生も優先されなくてはならない。しかし、イギリスに入国するすべての旅行者に14日間の自主隔離を義務付ける措置は、顧客需要を大きく減らし、大規模なサービスの再開を阻むものだ」とコメントした。

1日には、旅行会社200社がパテル氏宛ての共同書簡を送り、廃案を求めている。

また、感染率の低い国からの渡航者には隔離を免除する、いわゆる「エアブリッジ」を求める声も上がっている。

免除国の設定を検討

政府筋の話によると、政府がエアブリッジ条項を結びたい国の「リスト」が作られており、これにはポルトガルやフランス、スペインといった欧州の観光地のほか、オーストラリアやシンガポールが含まれているという。

しかし現時点では政府はこの案を「検討中」で、策定はしていない。

BBCのトム・バーリッジ交通担当編集委員は、航空業界はパテル内相からエアブリッジによって隔離施策の影響が抑えられるという確約を得られていないと感じていると説明。

IAGが会談に参加すらしなかったことが、政府と業界とのあつれきを示していると分析した。

(英語記事 BA shuns Home Secretary over quarantine plans