2020年06月06日 14:24 公開

ドナルド・トランプ米大統領は5日、5月の雇用統計が改善していたと発表する際、白人警官の暴行によって死亡した黒人男性ジョージ・フロイド氏が「見下ろしていて」「今日は素晴らしい日だと言っている」と述べた。これに対して、秋の大統領選で争う見通しのジョー・バイデン前副大統領は、「唾棄(だき)すべき」発言だと強く非難した。

米労働省が5日に発表した5月の全米雇用統計によると、雇用は250万人増加。失業率は13.3%となり、戦後最悪だった4月(14.7%)から改善した。

大方の予想と異なるこの改善を喜ぶトランプ大統領は、ホワイトハウスの庭で記者団を前に、フロイド氏が「上から見下ろして、この国に素晴らしいことが起きていると喜んでくれているといい。彼にとって素晴らしい日だ。全員にとって素晴らしい日だ」と述べた。

トランプ氏はこれに先立ち、「法の下の平等とは、人種や肌の色、性別や信条を問わず、全てのアメリカ人が法執行機関から平等の扱いを受けることを意味する。法執行官から平等の扱いを受けなくてはならない」と発言。「先週なにが起きたか全員が見ている。あんなことがあってはならない」と述べていた。

トランプ氏を批判する人たちは、雇用統計の改善を亡くなったフロイド氏が喜んでいるはずだなどと言うのは、下劣だと批判している。

一方で、トランプ氏の支持者たちは、その発言の文脈から、トランプ氏がフロイド氏の名前を出したのは、警察による扱いの平等を呼びかけたからだと主張している。

バイデン氏は何と

地元デラウェア州で遊説中のバイデン氏は、「ジョージ・フロイドの最後の言葉は、『息ができない、息ができない』だった。この言葉は国中、そしてむしろ世界中に響き渡った」と指摘。

「なのに大統領がジョージ・フロイドに、まったく別の言葉を口にさせようとするなど、正直言って唾棄すべきことだと思う」と、バイデン氏は述べた。

バイデン氏はさらに、トランプ氏が一部のアメリカ人の「最悪の部分」を引き出すと批判し、「おそらく10から15%だと思うが、ともかくあまり良い人間ではない連中だ」と述べた。

黒人の失業率は微増

5月雇用統計によると、全体の雇用は拡大し失業率は下がった。ただし、黒人労働者の失業率は4月の16.7%から16.8%へと微増した。

ヒスパニック系の失業率は4月の18.5%から17.6%へ改善したものの、人種別では最も高い。

フロイド氏は5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで、武器を持たず後ろ手で手錠をかけられた状態で地面にうつぶせにされ、白人警官に膝で首を9分近く押さえつけられて死亡した。罷免された元警官は殺意のある殺人罪で訴追された。周りにいた警官3人も罷免され、ほう助罪などで訴追された。

フロイド氏の死に抗議して、全米をはじめ各地で人種差別に反対する抗議行動が相次いでいる。

ミネソタ州は5日、これまで抵抗する容疑者への逮捕術として認めていた首に膝をのせて制圧する方法を禁止した。カリフォルニア州も同様の措置をとる方針という。


(英語記事 Biden: Trump 'despicable' for invoking George Floyd