2020年06月08日 14:31 公開

イギリスで8日、新型コロナウイルスのパンデミックを受け、すべての渡航者に14日間の自主隔離を要請する政策が施行された。飛行機やフェリー、鉄道でイギリスに到着した人は今後、自主隔離する場所の住所の申告を求められる。ルールに従わない場合は最大1000ポンド(約14万円)の罰金が科せられる。

プリティ・パテル内相は、この法律は新型ウイルスの「第2波を防ぐ」ためのものだと説明。しかし一部の産業界は、このルールで深刻な影響を受けると警告している。

ルールには、外国から帰ってきたイギリス国民も従う必要がある。一方、アイルランド、チャンネル諸島、マン島からの渡航者は除外される。

また、輸送業者や医療従事者など一部の業種の人も自主隔離の対象にはならない。

自主隔離先を申告

それ以外の渡航者は、イギリス到着時に「公衆衛生上の乗客の位置確認」書類を記入する必要がある。拒否すれば100ポンドの罰金を受けるか、入国を拒否されることもある。

自主隔離先の住所を申告できない場合は、政府が隔離先を用意するが、宿泊費は渡航者が負担する。また、渡航者がルールに従っているかのチェックも行われる。

このルールをめぐっては、航空業界や一部の与党議員から批判が出ている。しかしパテル内相は、自主隔離は「適切なもの」であり、「正しい時期」に導入されたと説明した。

「海外から持ち込まれる新たな感染リスクを減らせば、悲惨な第2波を防ぐ手助けになると科学が示している」

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隔離ルールの内容は?

イングランドに到着した人は、14日間の自主隔離ができなかった場合、1000ポンドの罰金が課せられる。スコットランドの場合は480ポンドとなる。

渡航者は可能であれば、自主隔離先まで自分で運転して行く必要がある。隔離先の市や町に着いた後は、公共交通機関やタクシーを使ってはいけない。

仕事や学校、公共施設などにも行ってはいけない。また、必要な支援を受ける以外は、訪問者とも会ってはいけないとされている。

一方、イギリスに入国せず、経由地として到着する人は隔離の対象にはならない。

旅行・運輸業界は反発

旅行業界は政府のこれらの方針に強く反発している。隔離期間を設けることで渡航客が減り、業界の雇用を危険にさらすとしている。

製造業界も、飛行機便が減ることで輸出入が制限されると指摘。貨物業界が大打撃を受けるほか、他の業界の回復も遅れるとしている。

航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、格安航空のイージージェットやライアンエアーは先に、政府法務局のトップ、サー・ジョナサン・ジョーンズに共同書簡を送り、政府に対する法的措置に踏み切っている。

業界トップらは5月にもボリス・ジョンソン首相宛ての書簡で、感染率の低い国からの渡航者には隔離を免除するいわゆる「エアブリッジ」の導入などを求めている。

さらに6月初めには、隔離計画を協議するために航空・船舶・鉄道業界のトップらが内相と会談したが、BAは参加を拒否。政府が示した計画の内容にも不満の声があがっていた。

すでにパンデミックの影響を受けているBAは、上場維持のために1万2000人の人員整理計画を発表している。ヒースロー空港の経営陣も、2万5000人の雇用が危ぶまれていると話した。

政府筋の話によると、政府がエアブリッジ条項を結びたい国の「リスト」が作られており、これにはポルトガルやフランス、スペインといった欧州の観光地のほか、オーストラリアやシンガポールが含まれているという。

しかし現時点では政府はこの案を「検討中」で、策定はしていない。

(英語記事 UK travel quarantine rules come into effect