2020年06月10日 13:29 公開

マレーシアは9日、ランカウイ島沖を漂流していたイスラム系少数民族ロヒンギャの難民約270人を拘束した。ロヒンギャが乗った船は、新型コロナウイルス対策のロックダウンの影響で2カ月近く沖合にとどまっていた。

拘束されたロヒンギャ難民は今年4月初旬にバングラデシュ南部を脱出した。

マレーシア湾岸警備隊が8日、ロヒンギャが乗った破損したトロール船を拿捕(だほ)すると、数十人のロヒンギャが海に飛び込んで岸まで泳ごうとした。

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近年、多数のロヒンギャが、迫害を受けるミャンマーから逃れている。

その多くは隣国バングラデシュへ向かい、コックスバザールに難民キャンプを設置している。この難民キャンプでは約100万人のロヒンギャが暮らしている。

中には近隣のイスラム教国マレーシアを目指す者もいる。マレーシアは安全な避難先とみなされるようになっている。

過去には密入国業者が数万人のロヒンギャを不法にマレーシアへ入国させていた。しかし現在では、マレーシアはCOVID-19(新型ウイルスの感染症)の世界的流行を理由に、ロヒンギャ難民のボートの着岸を拒否している。

船内から遺体も

マレーシア沿岸警備隊は、リゾート地ランカウイ島の沖合いで発見した難民ボートを国際水域まで追い出そうとしたと、AFP通信が報じた。

しかし沿岸警備隊が近づくと、53人が海へ飛び込んだという。

海上パトロールを監督するタスクフォースの声明によると、船内でロヒンギャ216人と女性1人の遺体を発見したという。

難民には食べ物と飲み物が与えられ、船はランカウイ島へと運ばれた。島では269人全員が拘束された。

タスクフォースの声明によると、調査の結果、ロヒンギャが乗っていた船(トロール漁船と報じられている)が「故意に」破壊されていたことが判明した。船が破損していたため、「国際水域まで追い出すのをやめる」ことになったという。

この船に乗っていたロヒンギャと断続的に接触していた人権活動家たちは、バングラデシュ南部を出発した当初は約500人が乗っていたと考えている。

その約半数以上が拘束されたことになる。残りは沿岸警備隊の目をかいくぐり、すでに岸に到達した可能性もある。

今年に入って22隻を追い払う

今年、何隻の船がロヒンギャを乗せてマレーシアへ渡ろうとしたのかは明らかではない。しかし当局によると、22隻を追い払ったという。多くの場合、船は小型で狭く、数百人が安全ではない状況下でぎゅうぎゅう詰めになっているという。

今年初めに同様の脱出を試みたあるロヒンギャ女性は、BBCに対し、自分が乗っていた船には水や衛生設備などの基本的な設備が不足していたと述べた。食べ物や飲み物も不足していたという。

また、乗組員は乗船者が死んだことを知られないように、死体を海に捨てる際にはエンジンを両方回し、水しぶきの音をかき消していたと述べた。

今年初め、数百人がぎゅうぎゅう詰めになった船で、少なくとも28人のロヒンギャ難民が死亡した。この船はマレーシアに到達できず、数週間にわたって海上を漂流していた。

ロヒンギャはミャンマーの少数民族の1つで、長年にわたって迫害されている。人数は2017年初めの時点で約100万人となっている。

バングラデシュに大量のロヒンギャが脱出し始めたのは2017年8月。この直前には、ロヒンギャの反政府グループ内の武装集団がミャンマーで警察施設30カ所以上を襲撃し、死者を出していた。

(英語記事 Refugees held after surviving two months at sea