2020年06月10日 15:53 公開

ブラジル当局は9日、新型コロナウイルスの感染者や死者の統計データを公式ウェブサイトで再公開した。保健省は6日、今後は過去24時間の感染者と死者の数だけを公表するとして累計データをウェブサイトから削除。検閲に当たるなどと大きな批判を浴びていたが、最高裁判所が再公開を命令した。

データは、裁判所命令から数時間でウェブサイトで公開された。

ブラジルの感染者の数はアメリカに次いで世界で2番目に多い。また現在、1日あたりの死者数が世界で最も多くなっている。

右派のジャイル・ボルソナロ大統領は、累計データを非公開にしたのは、COVID-19の報告体制を改善する一環だと説明していた。

しかし、ボルソナロ政権がデータを改ざんしているという批判もあり、保健協議会は「独裁主義的で、無神経で、非人道的かつ非倫理的だ」と非難していた。

こうした中、最高裁のアレクサンドレ・デ・モラエス判事は保健省に対し、公衆衛生の観点からCOVID-19に関するデータを「すべて再公開」するよう求めた。

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米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、ブラジルではこれまでに70万人以上が新型ウイルスに感染している。しかし検査が不十分なため、実際の数はもっと多いとみられている。死者数は3万7000人以上と、アメリカとイギリスに次ぐ世界3位。

政府によるデータ非公開を受け、地元メディアは独自の集計結果を公表して市民に情報を提供していた。

ボルソナロ氏はかねて世界保健機関(WHO)が推奨するロックダウン(都市封鎖)施策を拒否するなど新型ウイルスを過小評価しており、メディアでの批判も高まっている。

大統領は9日、WHOからの脱退を改めて示唆。パンデミックに適切に対処しなかったと非難した。

5日にはWHOのことを「党派的な政治的組織」と批判し、ドナルド・トランプ米大統領に同調した。

ボルソナロ氏は他人と距離を取る施策も無視しており、地方自治体が独自に導入した移動制限などに抗議するデモに繰り返し参加している。

判決の内容は?

ブラジルでは8日、野党3党が訴えを裁判所に提出。

モラエス判事はこれを受けて9日、保健省は「COVID-19のパンデミックに関連する日々の疫学データを完全に公開」するべきだとの判断を下した。

地元紙オ・グロバルによると、判事は政府に対し、48時間以内にデータをすべて公開するよう命令した。

また、ブラジルは深刻な保健危機に陥っており、すべての政府機関が「公衆衛生の保護に努めなる」必要があると指摘した。

その上で、「関連する疫学データの収集、分析、蓄積、公開という国際的に認知された対策を取らなければ、国民に悲惨な結末をもたらすことになる」と強調した。

ブラジルの現在の状況は?

中南米で最も人口の多いブラジルでは、アメリカに次いで世界に2番目に感染者が多い。

医療の専門家は、同国での感染は今後も増え、アウトブレイクのピークに至るにはなお数週間かかると予想。病院にさらなる重圧がかかるとみられている。

ボルソナロ氏はかねて新型ウイルスの脅威はたいしたことがないとし、「ちょっとしたインフルエンザ」のようなものだと述べていた。アウトブレイクが始まってからは、大統領の方針に反発して保健相が2人、辞任している。

また、地方当局によるロックダウンについては、経済を破壊するとして解除を求めている。さらに、政府の方針に逆らって厳しい制限を課している州知事は、政治的な利益をあげるためにそうしているのだと批判している。

(英語記事 Brazil restores Covid-19 website after outcry