2020年06月11日 15:22 公開

ボリス・ジョンソン英首相は10日、新型コロナウイルス対策の制限緩和の一環として、イングランドの単身者を対象に、別の1世帯の家での滞在を認めると発表した。

ジョンソン氏は定例会見で、自宅と別の1世帯でつくる空間を「サポート・バブル(支援の安全圏)」と呼び、13日以降はその範囲内での宿泊も可能だとした。

対象は、単身者または18歳未満の子どもがいる一人親。孤独感を和らげるのが狙いで、制限が守られると信じていると述べた。

ジョンソン氏は、「サポート・バブル内の人は全員、同じ世帯で暮らしているかのように行動できる。互いの家で一緒に過ごせるし、2メートルの距離を取る必要はない」と話した。

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隔離中の人やイングランド以外の地域の人は、今回の制限緩和の対象にならない。

ジョンソン氏はサポート・バブルについて、構成世帯の変更や、複数世帯の連結はできないとした。

また、「サポート・バブルのメンバーに症状が出たら、その全メンバーが世帯隔離に関する通常の助言に従う必要がある」と説明した。具体的には、14日間の自主隔離が求められる。

ジョンソン氏はこのほか、生活必需品以外を扱う商店や屋外動物園、サファリパーク、ドライブインシアターは15日から営業を再開できると述べた。

さらに、イングランドの学童向けの新たな「キャッチアップ(遅れを取り戻す)プログラム」を発表。これは、学校が再開された後も、多くの子どもが9月まで登校しないことが明らかになったことを受けてつくられた。

「サポートバブル」はどう機能?

政府はサポート・バブルについて、以下の例を挙げて説明をした。

  • 1人暮らしの祖父母は子どもの1人とバブル(安全圏)を形成し、子どもを訪ね、孫と普段どおり交流できる
  • 一人親は別の親や友人とバブルを作り、普段どおり交流できる
  • 自活している単身者2人はバブルを作れる
  • 同居していないカップルはバブルを形成できるが、ともに1人暮らしの場合に限られる

1人暮らしの人と、同居者のいる人がバブルを作ることはできる。ただしその同居者は、独自に別のバブルを形成することはできないという。

国家統計局によると、イギリスには昨年時点で単身者が820万人いた。うち半数弱が65歳以上だった。一人親世帯は290万世帯あった。

「サポートバブル」を作れない人

ジョンソン氏は今回の新しいルールについて、対象外の人々が屋内で別の人と会うためのものではないとし、そうした行為は違法のままだと述べた。

夫婦で暮らしている祖父母や、ルームシェアなどで何人かと一緒に生活している人、すでに同居しているカップルは対象外となる。

ジョンソン氏はまた、隔離中の人はバブルを作らないことが望ましいとした。一方で、「隔離中の人がどれだけ大変かはわかっている」とし、7月以降の対応について来週、発表する予定だと述べた。

BBCのニック・アードリー政治担当編集委員は、他人との距離を取る制限の緩和において政府は非常にためらいがちだと指摘。サポートバブルもその1つの表れで、内容も非常に限定的だとした。

夏の間に児童の「遅れ取り戻す」

会見でBBCのローラ・クンズバーグ政治編集長は、子どもたちが間もなく動物園でライオンを見られるようになる一方で、学校には9月まで戻ることができないのはなぜかと質問した。

ジョンソン氏は、残りの小学生についても、夏休みの前に学校に戻れるようにしたいと考えていたと説明。だが、新型ウイルスの流行は、「学校における社会的距離の措置を変えるレベルまで弱まらなかった」と述べた。

そして、「夏の数カ月間に、子どもが遅れを取り戻せるよう大掛かりなことを予定している」と表明。来週、ギャヴィン・ウィリアムソン教育相が「キャッチアップ・プログラムについて詳しく発表する」と述べた。

ジョンソン氏はイングランドの学校に関する方針について、欧州の国々と比較しながら擁護した。

その上で、9月に全児童が学校に戻ることができるかは、新型ウイルス抑制の進み具合にかかっているとした。

ロックダウン開始は適切だったか

この日、英政府の新型ウイルス対策顧問を務めていたニール・ファーガソン教授は、ロックダウン(都市封鎖)を1週間早く始めていれば、イギリスのCOVID-19の死者は半減していただろうと、議会で述べた。

ジョンソン氏の会見に同席していた首席医務官のクリス・ウィッティー教授は、ロックダウンをいつ開始すべきだったかは、人によって意見が違うと話した。

また、当初は新型ウイルスについて「非常にわずかな」情報しかなかったが、現在はより多くのことがわかっていると述べた。

ジョンソン氏は、「私たちの対応を判断するには時期尚早だ。新型ウイルスについて現在、1月や2月、そして3月よりも多くのことがわかっている」、「慎重に進めることが必要であり、私たちはまさにそうしている」と話した。

さらに、イギリスで新たに245人の死亡が確認され、新型ウイルスによる死者は4万1128人となったとした。

政府の首席科学顧問を務めるサー・パトリック・ヴァランスは、ウイルス感染者1人が次に何人に感染させるかを示す「実効再生産数」が「1をわずかに下回っている」状況が続いていると説明。

「流行は縮小している。ただ急速にではない」、「数字は減少しているが、まだとても低いわけではない」と述べた。

(英語記事 Single people can stay the night with loved ones