2020年06月12日 14:45 公開

米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は11日、反人種差別デモの被害を受けた、ホワイトハウス近くの教会前でのドナルド・トランプ米大統領の写真撮影に同行したのは「誤り」だったと述べた。撮影の直前には平和的な抗議者たちが強制排除されており、物議を醸していた。

連邦公園警察などは1日、ホワイトハウス前の公園周辺で抗議していた人たちを催涙ガスやゴム弾などで排除した。これは、直後にトランプ氏が公園を徒歩で通過し、セントジョン米聖公会教会の前で聖書を持って写真撮影できるようにするためだった。

ミリー統合参謀本部議長はこの時にトランプ氏に同行したことで、米軍が「国内政治に関与しているとの印象」を与えてしまったと述べた。

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アメリカでは、黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に首を約9分間圧迫されて死亡した事件に端を発した抗議デモが各地で行われている。

この事態に対処するために兵士を投入することをめぐり、激しい議論が起きている。

ミリー氏の主張

ミリー統合参謀本部議長は11日、ワシントンの国防大学の卒業式向けのビデオ講演で、「私はあそこにいるべきではなかった。あの瞬間、あの状況下に私がいたことで、米軍が国内政治に関与しているとの印象を与えてしまった」と述べた。

「制服を着た将校として、この過ちから学んだ。そして我々全員がこのことを教訓にできることを切に願う」

ミリー氏はさらに、「我々の共和国の本質に非常に深く根ざした、政治的重要性のない軍の原則を我々は大切にしなければならない」と付け加えた。

また、フロイドさんの事件について、「愚かで残忍な殺人」に憤慨していると述べた。

「事件を発端とする抗議デモは、フロイドさんの殺害だけでなく、何世紀にもわたるアフリカ系アメリカ人に対する不法行為に対するものでもある」

ホワイトハウスと米軍の軋轢

ニューヨークで取材するBBCのナダ・トーフィック記者は、ミリー氏の発言は、アメリカの人種差別の歴史や、現在の変革を求める運動への対処方法をめぐるホワイトハウスと米軍間の軋轢(あつれき)が深まっていることの表れだと指摘する。

1日にトランプ氏と教会へ向かった際、ミリー氏は迷彩服を着用していた。これが、抗議者に対して軍を展開するという考えをミリー氏が支持している表れだとの批判が上がった。

マーク・エスパー米国防長官もまた、トランプ氏とミリー氏と共に徒歩で教会へ向かっていた。エスパー氏は同行したことは誤りだったとは明言してはいないが、記者会見では兵士との交流と教会の被害状況を確認する目的があったことを示唆した。

複数の政府高官は米メディアに対し、トランプ氏がこの記者会見を受け、エスパー氏を怒鳴りつけたと証言した。

トランプ氏はたびたび「法と秩序」に言及し、首都ワシントンに州兵を投入した。また、ほかの都市に軍を配備すると誓い、暴力的な抗議デモを非難している。

当初、抗議の大半は平和的に行われていたが、複数の都市では一部の抗議で暴力行為が発生した。

しかしフロイドさんの事件に関与した元警官4人が殺人罪などで訴追されて以降、抗議はさらに平和的なものとなっている。また、警察の残虐行為や人種的不平等に反発する世界的な運動が生まれることとなった。

今月1日に何があったのか

ホワイトハウス前のラフィエット公園広場では1日、連邦公園警察などが平和的に抗議していた人々をペッパースプレーや閃光(せんこう)弾などで追い払った。

抗議者の排除が行われる中、トランプ氏はホワイトハウスで、「もし市や州が住民の生命と財産を守るため必要な行動を拒否するなら、私が合衆国軍を投入して、代わりに問題を速やかに解決してあげる」と述べた。

この後、トランプ氏はセントジョン米聖公会教会へ徒歩で移動し、聖書を手に記念撮影。この行動に、キリスト教関係者から非難が上がった。

トランプ氏は「ほとんどの宗教指導者は」教会訪問を「気に入っていた」とし、事前の抗議者排除に自らは関わっていないと述べた。

(英語記事 US military chief sorry for joining Trump walk