2020年06月14日 12:28 公開

米南部ジョージア州アトランタで飲食店の外に車を停めて眠っていた黒人男性が警察に撃たれて死亡した事件を受け、アトランタ市警の本部長が13日に辞任した。14日には検視官事務所が、男性は背中から撃たれており、死因は「殺人」だと発表した。

ジョージア州捜査局(GBI)によると、ドライブスルーのレストラン「ウェンディーズ」の外で12日、レイシャード・ブルックスさん(27)が車を停めて眠っていたところ、車がドライブスルーの通路をふさいでいると通報を受けた警察と、ブルックスさんがもみあいになり、警官がブルックスさんに発砲した。

フルトン郡検視官事務所は14日に司法解剖を実施。死体検案書によると、ブルックスさんは背中を2回、銃で撃たれており、出血と臓器の受傷が原因で死亡したという。

ブルックスさんを撃ったとされる勤続7年目のギャレット・ロルフ警官(27)は、解任された。

フルトン郡のポール・ハワード地区検察官はCNNに、ロルフ元警官には殺人か重罪致死のいずれかの罪が適用される可能性があると話した。

ブルックスさんの死を受けて、アトランタのケイシャ・ランス・ボトムズ市長は13日、エリカ・シールズ警察本部長が辞表を提出したと明らかにした。

市長は、「この街がなんとしても必要とする信頼を再構築できるよう、本部長はただちに辞任すると表明した。アトランタこそこの国にとって、意味ある改革の手本になってもらいたいと、本部長が切望しているからだ」と声明を出した。

ボトムズ市長はさらに、ブルックスさんに警官が拳銃を発砲したことは「正当化できる殺傷力の行使」とは思わないと述べている。

アトランタでは13日から、ブルックスさんの死に抗議するデモ行進が行われた。

アメリカでは5月末から各地で、黒人男性ジョージ・フロイドさんが中西部ミネアポリスで白人警官に暴行され死亡したことに激しい怒りが噴出し、抗議行動が相次いでいる。

殺傷力のないテイザー銃

アトランタ警察が公表した警官のボディカメラ映像では、車内で眠っていたブルックスさんがロルフ警官に起こされ、車外で呼気検査を受ける様子が映っている。

まっすぐ歩けるかなど酩酊状態を確認された後、「その状態では運転できないな」と警官に言われたブルックスさんは、手錠をかけられそうになると逮捕に抵抗したもよう。

ジョージア州捜査局によると、レストラン店内の防犯カメラ映像には、警官から逃げるブルックスさんが振り返りテイザー銃(電気スタンガン)を警官に向けた後、また走りだす様子が映っている。

「その時点で警官が発砲」し、ブルックスさんを撃ったと捜査局は報告している。

捜査局が分析した別の動画では、レストラン外の地面でブルックスさんが警官2人ともみあっている様子が映っている。ブルックスさんが1人の警官のテイザー銃をつかんで逃げて走り出し、もう1人の警官が自分のテイザー銃をブルックスさんに向けている。

その後、警官2人が映像のフレーム外に出た後、複数の銃声が聞こえ、地面に倒れたブルックスさんの姿が映っている。

ブルックスさんは病院に搬送されたが、後に死亡した。警官の1人は負傷して手当てを受けたと言う。

ロルフ警官は上司に、「追跡すると容疑者は振り返り、こちらにテイザー銃を撃ち始めた」、「少なくとも1度は確実に私に向かって撃った」と報告している。

GBI報道官はAP通信に対し、ブルックスさんがテイザー銃を撃ったかは確認できないと話した。

ブルックスさんの家族の代理人、クリス・スチュワート弁護士は、殺傷力のないテイザー銃しか持たないブルックスさん相手に、警官が拳銃を使用したことを問題視している。

米ABCニュースによると、ジョージア州内で警官が関係する発砲事件をGBIが捜査するのは、今年に入ってすでに48件目。そのうち15件が致死事件だったという。

各地で警察改革の要求

ミネアポリス市警によるフロイドさんの暴行死を機に、アメリカ各地では警察による人種差別や過剰暴力に抗議するデモが相次いでいる。

ミネアポリスでは市議会が7日に、市警の解散を決議。12日には、警察の代わりに地域住民が公衆の安全を維持する仕組みを構築すると決定した。

市議会は今後1年をかけて、新しい公衆安全維持の仕組みづくりに「関わりたいすべてのミネアポリス住民」と協力していくと話している。

東部ニューヨーク州ではアンドリュー・クオモ知事が、州内各地の警察に抜本的な改革を実施するよう命じた。さらに、過剰な実力行使や偏見を是正する措置を来年4月までに実施しない警察には、州の予算を停止する方針を示した。

ドナルド・トランプ米大統領は12日、警官が容疑者を後ろから羽交い絞めにして首を絞めつける逮捕術は、「一般論として」やめるべきだと発言した。

トランプ氏は新型コロナウイルス感染拡大が始まって以来初の支持者集会を19日にオクラホマ州タルサで開くといったん発表したものの、これが奴隷解放記念日にあたることから、日にちを変更した。

1865年6月19日は、テキサス州で奴隷解放宣言が読み上げられた日。奴隷制維持のために戦った南部連合のうち、テキサス州は奴隷解放を受け入れた最後の州だった。南北戦争は1865年4月に終結している。

6月19日は国民の祝日ではないが、多くのアフリカ系市民が「Juneteenth(ジューンティーンス)」と呼んで祝う。

トランプ氏が支持集会の場所にタルサを選んだことも、批判されている。1921年には白人集団がタルサ市内のグリーンウッド地区を銃や爆発物で襲撃。当時のグリーンウッドは「ブラック・ウォール・ストリート」と呼ばれ、黒人が経営する多くの事業が成功し、繁栄していた。白人集団の襲撃で最大300人が死亡し、約1000件の事業や住宅も破壊された。

(英語記事 Atlanta police chief resigns over shooting of Rayshard Brooks / Juneteenth: Trump changes Tulsa Oklahoma rally date 'out of respect'