特に異様な存在が経団連だろう。「日本国民が豊かになれば、それが自分たちの利益になる」という一番大切なことを忘れ去ってしまっているのだ。

 では、なぜ忘れてしまっているのか。その答えは簡単だ。経団連の首脳陣が、悪い意味でのサラリーマン、つまり「社畜」だからだ。

 自らの判断でリスクをとって会社経営を牽引する存在というよりも、組織の中で階段を上がっていくことだけに特化したムラ社会の住人で構成されている。ムラ社会の住人には、「日本」という外の広い世界もムラ視線でしか評価することができない。

 また、もう一つの特徴が、サラリーマン=社畜ゆえに「上司」に頭が上がらないことだ。いつの間にか、その「上司」に中国が成り代わり、君臨しているのだろう。先の青山氏の発言が真実だとすれば、この財界人の「媚中」的な心性をまさに言い表している。「上司」たる中国に頭が上がらないのである。

 経団連、日本商工会議所と並ぶ経済3団体の一つで、企業経営者の組織である経済同友会も似たようなものだ。経団連もそうだが、相変わらず緊縮主義全開である。新型コロナ危機で人類史上最大レベルの経済的な落ち込みに直面しているのに、財政規律、つまり緊縮主義を心配しているのだ。

 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は、6月12日に成立した2020年度第2次補正予算に関して、盛り込まれた10兆円の予備費が「財政規律」を乱すとを批判していた。前回の連載でも指摘したが、予備費は新型コロナ危機の対策として、不確実性への対応と政策の柔軟性の観点からベストの選択の一つだ。だが、財務省は予備費の総額と柔軟性を一貫して批判してきた。
会見する経済同友会の桜田謙悟代表幹事=2020年3月
会見する経済同友会の桜田謙悟代表幹事=2020年3月
 野党はまるで財務省のエージェントのように、彼らの理屈をそのままなぞっているが、財界も同じことをしている。特に経済同友会はどのような経済状況でも、悪しき構造改革主義(経済を停滞させる小さな政府論)と「財政規律」論を唱えて続けている。本当に財務省にとって都合のいい団体である。

 国民の生活が困窮していても、解消に動くよりも、財務官僚の事実上の代弁をする。この姿勢も、経営者がいったい誰に食べさせてもらっているのか忘却していると感じずにはいられない。