平野和之(経済評論家)

 およそ2カ月におよぶ緊急事態宣言が解除され、日常が戻りつつあるが、これから経済再興はもちろん「withコロナ」の中でどうやって生きていくかを考えなければならない。私は感染症の専門家ではないが、経済的、経営的、ジャーナリズム的見地から今後のコロナサバイバル術をランダムに示してみたい。

 日本における感染拡大はいったん収まりつつあるが、振り返ってみれば、東京の「夜の街」はさておき、医療や介護、保育など公共性の高いサービス内でのクラスター感染が目立った。実際には、スレスレで医療が持ちこたえた努力には感謝の念でいっぱいだが、今後も現場が疲弊することを防ぐために、前向きに経営サイドに向けた問題提起をしておきたい。

 私が住む神奈川県も医療クラスターが多発しているが、その原因の一つは大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の受け入れで公営病院などがパンクし、民間病院が受け入れ強化したことにある。

 クラスターが確認された横浜市内のある民間病院については、私も近くに27歳まで住んでいたが、「絶対に行ってはいけない病院」と地域で言われていただけに、やはりと思った人も多いのではないだろうか。

 一方、別の病院では、勤務する医療従事者のプライベートも管理したりするほどの徹底ぶりで、病院によってかなり差があるようだ。経営サイドのマネジメントノウハウがない病院の現場はたまったものではない。

 病院経営もコロナ対策を徹底し始めて以降、来院を予約制に変えたり、受付を中空ドアにしたりといったように、大掛かりな見直ししているところも多くなった。徹底した管理を医療現場は強いている。

 話は少し逸れるが、私は魚の養殖にも間接的に関わっている。その現場では、養殖アユが病気で大量死することは日常茶飯事だが、これを回避している養殖業者の共通点は徹底した除菌管理だ。特に、車も含めて出入り時に、ハンドルやタイヤだけでなく靴底除菌をしている。

 同じことは病院でもいえる。靴底を除菌水に浸けて入るか、ビニール袋に靴を入れるといった工夫が必要になるだろう。大型温泉施設の一部では実際こうした対策を取り入れている。米国では靴底経路も指摘されている。次亜塩素酸の効果は賛否あっていまだはっきりしないが、出入りする際に全身除菌するシステムも必要になっている。

 こうした現状を踏まえれば、感染者を出さなかった自衛隊中央病院(東京都世田谷区)と同様のマニュアルを徹底することが有効だと思われる。さらに、万が一、クラスターが起きた際の指導は、行政ではなく、自衛隊と連携できるようにした方がよい。感染症は「細菌テロ」とみなして対応するぐらいの構えが必要だからだ。
病院の入り口前に設置したテントで検温や問診を行う医療スタッフ=2020年4月30日、東京都世田谷区の自衛隊中央病院(田中一世撮影)
病院の入り口前に設置したテントで検温や問診を行う医療スタッフ=2020年4月30日、東京都世田谷区の自衛隊中央病院(田中一世撮影)
 今回の新型コロナウイルスの感染者数は、当初想定より大幅に下回ったにもかかわらず、一時医療崩壊スレスレと騒がれた最大の要因は、病床やスタッフではなく、医療物資の不足だと現場からは聞こえてくる。