今都民が求めるのは、実力のある改革者でありながらも着実にリスクをコントロールしながら経済を回す安心、信頼できるリーダーではないかと考えます。日本、そして東京を作るのは私たちだからです。

 では、堀江氏のように情報発信力の高い候補者は、実際の選挙の現場ではどう活きてくるのでしょうか。本来、ネット選挙活動を行う目的として、候補者を多くの人に伝える、知ってもらう情報伝達に対しての訴求性が高く、宣伝、動員、空中戦の一つのツールとして位置付けられています。広報費用を抑えるメリットもあって、今回の新型コロナ禍の影響で、「3密」を避けるためにも、オンラインによる選挙活動に力を入れる現場も増えつつあります。

 実際の選挙期間に入ると、投稿の量よりも質を重要視した発信する姿勢が求められます。地方選では、質より量を重視して検索結果を埋め尽くす手法も一部ありますが、選挙区で得票数が高い年齢層を見極め、それぞれに落とし込んだ政策から有権者を「説得する」ためのメッセージ化を行うということが必要です。

 もし、日頃からSNSを積極的に活用して発信しているにもかかわらず、支持者が伸び悩んでいるとすれば、「エンパシー(empathy)」の能力が低い可能性が考えられます。エンパシーとは「他者の立場を想像し、感情を分かち合う能力」のことで、自分と他者が違うと認める考え方として心理学でよく使われます。

 日常生活のコミュニケーションの中でもたびたび使われる、「思いやり、同情、相手を気の毒に思う」といったシンパシーという感情があるのは、ご存じだと思います。一方、エンパシーは自分と異なる他者の感情や経験などを理解する能力であり、知的作業を指します。

 選挙期間中の情報発信は、自らの政策を一方的に発信して対論するよりも、有権者の感情に訴えて共感を得られるように双方向で対話することが重要になります。それには、日頃から自分と違う理念や信念を持つ人々が何を考えているか、他者の思考プロセスを想像する能力、エンパシーを鍛えることが必要です。こういう力を鍛えることにより、有権者に寄り添った関係を築くためのメッセージ化やキーワードを戦略的に生み出すことができるでしょう。

 また、選挙期間以前から取り組むべきポイントとしては、広いファンではなくより一歩深く踏み込んだ「アンバサダー」を事前に増やすことです。広く浅い発信よりも、確実な票集めです。つまり、ネット上の投稿を拡散してくれる協力サポーターを増員することです。昨年の参院選で返り咲いた山田太郎参院議員には、強力なネットサポーターの渦が構築されていました。こうした点では、ファンの集中度が高い堀江氏が、分散している小池氏よりも既に優位に立っていたと考えられます。

 求心力維持には票の上積みが必須ですが、堀江氏が反小池票を掘り起こすことによって現実味を帯びてくる可能性が高いと見ていました。選挙期間中、空中戦において成果に繋げるためには選挙期間外にどのくらい力を注いだかで変わってくるのです。

 先日、ついにツイッター本体に予約投稿機能が搭載されました。これによって、より事前に広報スケジュールとコンテンツの事前作成を行う戦略ができます。

 選挙期間中に発信する内容は、事前に作成し広報スケジュールを立てることをお勧めしています。従来の候補者の情報発信モデルは、具体的に大きく分けて四つの型があると筆者は考えています。

 過去形で投稿を行う「報告型」、現在進行形で投稿を行う「実況型」、未来形で投稿を行う「告知型」、時系列を問わない「主張型」です。主に与党の候補者には報告型が多く、野党の候補者には告知型が多く含まれる傾向があります。

 また、東京大大学院情報学環が、2019年の参院選の投票行動と情報行動に関する調査の中に、選挙運動期間中の選挙に関する情報へのSNS接触頻度結果が出ています。
 全体の接触率は、ツイッターが最も高く、僅差でLINEとユーチューブが続きました。年代別のトップは、10代と20代がツイッターで、30代はユーチューブ、40代と50代がLINE、60代はユーチューブとなっています。

 2017年の衆院選の際に行われた同様の調査と比較すると、SNS接触率が高まっているという傾向が示されています。ここでは深く触れませんが、SNS接触が高まりつつある中で、その個々のサービスには長所と短所があります。さまざまな状況に応じて複数のSNSを戦略的に組み合わせて発信することで、有権者とコミュニケーションが自然と生まれるような投稿の質に近づけることはとても大切です。

 「アフターコロナ」の都知事選で、候補者は街頭演説や選挙カーを控えめにすることを余儀なくされるかもしれません。その一方で、ネット公開討論会、オンライン選挙事務所など、有権者が政策や候補者を判断に参加する新しい機会の提供が求められるのではないかと考えます。