2020年06月16日 15:40 公開

ケリー・アレン、BBCモニタリング

中国・広東省で14日、世界最大規模の家電メーカー「美的集団(マイディア・グループ)」創業者で、中国有数の富豪、何享健氏(77)の誘拐未遂事件があり、容疑者5人が逮捕された。

警察は14日、広東省仏山市の何氏の高級別荘に何者かが押し入ったと、侵入者から逃れた何氏の息子から通報を受けた。

警察は事件に関与した人物全員を逮捕した。負傷者はいなかったという。

報道によると、何氏の息子はこっそり敷地を抜け出し、近くの川を泳いで渡って助けを求めたという。

何があったのか

仏山市の警察は14日夜、爆発物を所持しているとみられる複数の人物が何氏の別荘に侵入したとの通報を受けた。

通報したのは大物実業家の何氏の息子で、美的集団取締役の1人、何剣鋒氏(55)だったとみられる。テクノロジー・ニュース・ウェブサイトのTMTポストは、剣鋒氏が「警察に通報するために別荘近くの川を泳いで渡った」としている。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、地元の複数の人の話として、警察が事件に対応する間、住民には14日夜から15日朝にかけて厳格な封鎖措置が命じられたと報じた。

住民の1人は同紙に対し、「そこそこ怖かった。ここの治安は近隣地域よりもいいと、かねがね思っていたので」と述べた。

仏山市警は、何氏の誘拐未遂事件で容疑者5人を逮捕したとの声明も発表。今も捜査が続いているという。

美的集団は、中国版ツイッターの新浪微博(SINA Weibo)に「警察、メディア、そして地域社会のあらゆる関係者の方々、ご心配いただきありがとうございます」との感謝のメッセージを、警察の声明のリンク付きで投稿

中国国営の英字紙「環球時報(グローバルタイムズ)」は、同社が「間接的にこの事件が起きたという事実を認めた」と報じた。

何享健氏とは

何享健氏は中国有数の富豪でありながら、目立とうとしない億万長者の1人。

資産は推定248億ドル(約2兆6650億円)で、中国6位の富豪。米経済誌フォーブスの2020年世界富豪ランキングでは36位になっている。

何氏は26歳だった1968年に、美的集団をゼロから興した。

瓶のふたや自動車部品の生産から始まった美的集団は、現在では中国全土で家電や商業用エアコンの最大手の1つとして知られている。

同社は2016年、世界最大のロボット工学会社の1つ、ドイツのクーカを買収している。

映画のよう

サウスチャイナ・モーニングポストは、「他の大物実業家に比べて常に目立たないようにしてきた何氏が、実はどれほど巨額の資産を持っているか、この事件で世間が知ることになった」と報じた。

ローマ風の円柱まである何氏の欧風豪邸の写真には、新浪微博で大勢が度肝を抜かれていた。

中国のソーシャルメディアではこの事件について話題沸騰で、まるでアクション映画のようだと話題になっている。

新浪微博のマイクロブログでは大勢が、犯人はなんて馬鹿なのかと書いている。「白昼堂々、どうしてこんなに傲慢になれるのか」と書いたユーザーもいる。

「ありとあらゆるとんでもないことが、2020年には起きる」と、別のユーザーは付け加えた。

ユーザーたちはまた、何氏の警備体制についても疑問を投げかけている。サウスチャイナ・モーニングポストは、何氏の別荘の敷地の外には定期的に2人の警備員が配置され、別荘には「何氏の私的な警備員が24時間常駐」していると報じている。

新型コロナウイルスの大流行で、中国では自暴自棄な人が増えているという意見もあった。

「エピデミック(感染流行)の後、お金を稼ぐことが難しくなった」という投稿もあった。「雇用や生活が保証されない状況では、危険なこともやってやろうという人が出るものだ」という意見もあった。

美的集団本社は15日を臨時の休日にした。従業員を休ませた上で、同社はリスクアセスメントを実施したという。

(英語記事 Chinese billionaire rescued after kidnap attempt