2020年06月16日 15:18 公開

北朝鮮の朝鮮人民軍は16日、韓国との軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)に進入する準備ができていると警告した。

北朝鮮と韓国の緊張関係は、脱北者団体が北朝鮮に向けて体制批判のビラを飛ばしていることをめぐって高まっている

今回の警告は、ビラ散布に対抗する意味も込められているとみられている。

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軍はこの日、「前線を要塞(ようさい)にし、軍事的警戒を高める」準備が整ったとした。

さらに、DMZに部隊を進める「行動計画の研究をしている」と述べた。


総参謀部は、「高度の警戒状態」にあるとし、政府の決定を「迅速かつ完全に」実行する準備ができているとした。

これを受け、韓国の国防省は同日、アメリカと合同で北朝鮮の軍事行動を細かく監視していると述べた。

「ごみはごみ箱に」

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹で党幹部の金与正(キム・ヨジョン)氏は13日、軍にDMZへの進入の準備をするよう命じたと明らかにしていた。

また、「韓国当局と確実に決別する時だ」と声明で宣言。「行動」を起こすと約束し、「ごみはごみ箱に捨てなくてはならない」と結んでいた。


<分析>なぜ北朝鮮は今回の警告に出たのか――ローラ・ビッカー・ソウル特派員

韓国は今回の警告を真剣に受け止めている。

DMZ周辺の情報活動を強化し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は北朝鮮に対し、緊張の悪化を避けるため冷静を保つよう呼びかけた。

だが、ビラをめぐってどうやってこの事態に至ったのか?

まず、体制批判の政治宣伝だという北朝鮮の主張は一理ある。2018年の南北首脳会談で、韓国はビラが境界線を越えて飛ばないようにすると約束した。

さらに北朝鮮は、同国への厳しい経済制裁を続けるようアメリカが主張し、それに韓国が反対しないことに憤っている。

今回の事態は、より大きな問題と思われる。発表のタイミングや、連絡の遮断から軍事行動の脅しに至る注意深い段階的な対応は、周到に準備されたものと思える。

北朝鮮は韓国を懲らしめるために危機を作り出し、今後の協議で緊張を利用するつもりかもしれない。

脅威という点では北朝鮮は、2018年に文大統領が勝ち取った成果を無に帰する考えだ。

DMZの計20カ所の監視塔が撤去され、世界で最も警戒の厳しい境界が平和地帯へと変わることへの期待が膨らんだ。

文大統領は、朝鮮半島における「後戻り不可能な平和」の構築を考えていると話した。北朝鮮は、彼が間違っていたと証明する一歩手前にいる。

(英語記事 North Korea threatens to send army into border zone