2020年06月17日 11:35 公開

インド当局は16日、中国と国境を争うヒマラヤ山脈地帯で両国軍が衝突し、インド兵が少なくとも20人死亡したと発表した。

両国軍の衝突で死者が出たのは、過去45年以上で初めて。このところ両国の緊張が高まっていた。

インド外務省は、ガルワン渓谷の実効支配線(LAC)を順守するとした先週の合意を、中国が破ったとしている。

BBCのジェイムズ・ロビンズ外交担当編集委員は、核保有国同士の衝突は極めて深刻なだけに、全面紛争に陥るのを防ぐ国際社会の圧力が高まるとしている。

BBCインド・オンラインのスーティク・ビスワス編集委員は、今回の衝突で、インド国内における反中国の国民感情が再び高まるだろうとみている。また、新型コロナウイルス対策に苦戦するナレンドラ・モディ首相は、外交と安全保障の難問を突きつけられた格好だと説明した。

双方の主張

インド陸軍は当初、領有権が争われているカシミール地方のラダックで中国軍と衝突が発生し、インド軍の将校1人を含む3人が死亡したと発表した。

その後、両軍の衝突は収まったとする声明を発表。衝突ではインド部隊の17人が死亡し、「戦闘での死者は合計20人」になったとした。

一方、中国側は死者が出たとはしていない。インドに対し、国境を越えて中国側に侵入したと批判している。

AFP通信によると、中国外務省の趙立堅報道官はインド側が15日に2度、国境を越えたと主張。「中国側を挑発、攻撃し、双方の国境軍同士の深刻な身体的衝突を招いた」と述べた。

インドと中国の双方とも、40年間というもの銃弾が使われたことはないと主張。インド軍は16日、今回の衝突においても「発砲はなかった」と述べた。

銃撃戦以外でどうやってこれほどの死者が出たのかは不明だが、戦闘には石とこん棒が使われたとの報道も出ている。

インドのメディアは、インド兵らは「殴打されて死亡した」と伝えている。


高まっていた緊張

実効支配線の境界はあいまいだ。川や湖、山頂付近の雪などが、境界の確定を難しくしている。世界最大規模の中国、インド両軍は、至る所で遭遇している。

両国は過去30年間で何度か協議を重ねてきたが、国境問題は解決されていない。

ここ数週間は、国境付近で双方の緊張が高まっていた。

インドは、中国がガルワン渓谷に数千人の部隊を送り込み、インドの領土を3万8000平方キロにわたって占拠していると主張している。

5月には、北東部シッキム州の国境付近で両軍部隊の衝突があった。同州では2017年にも、中国が国境を広げようとしたことをきっかけに衝突が発生した。

インドはラダックの実効支配線に沿った遠隔地に新たな道路を建設している。有事の際に部隊や物資の素早い移送を可能にするもので、こうしたインフラ整備に中国は強く反発している。

これまで両国が戦争状態となったのは1962年のみ。このときはインドが屈辱的な敗北を喫した。

(英語記事 India-China clash: 20 Indian troops killed in Ladakh fighting