高橋学(立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授)

 6月4日午後8時すぎから午後11時ごろにかけて、「異臭がする」という通報が神奈川県三浦半島の横須賀市消防局や逗子市消防本部に相次いで寄せられた。

 そして「ゴムが燃えるような」「化学薬品のような」「ニンニクのような」と、その異臭の表現はさまざまで、三浦半島南部から横須賀市へと移動した。しかし、警察、消防、東京ガス、海上保安庁などが調査にあたったものの原因を特定することができず、いまだ謎のままだ。

 三浦半島は東京湾の対岸の房総半島南部と並んで、明瞭な活断層の知られている地域である。しかも、東京湾口には「相模トラフ」が存在している。相模トラフでは、「北米プレート」の下にフィリピン海プレートが潜り込む場所だ。

 教科書レベルの知識では、東日本では北米プレートの下に「太平洋プレート」が「日本海溝」で沈み込むとされている。

 太平洋プレートの沈み込みに北米プレートが耐え切れず、活断層が活動したのが2008年の岩手・宮城内陸直下地震であった。また、太平洋プレートとの「固着域」がはがれて北米プレートが跳ね上がったのが11年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)である。

 これに対して、西南日本では「フィリピン海プレート」が「ユーラシアプレート」の下に沈み込み、その圧力でユーラシアプレートの活断層が動いたのが16年の熊本地震や鳥取県中部地震、18年の大阪北部地震などである。
※画像はイメージ(ゲッティイメージズ)
※画像はイメージ(ゲッティイメージズ)
 また、ユーラシアプレートが跳ね上がると「南海トラフ地震(東海地震、東南海地震、南海地震)」になると理解されている。

 しかし、実際には太平洋プレートは「伊豆・小笠原海溝」でフィリピン海プレートの下に沈み込み、フィリピン海プレートは伊豆半島より東部では相模トラフから北米プレートの下に沈み込んでいるのである。

 つまり、首都圏周辺は太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレートの3枚のプレートが重なっており、地球規模で見ても極めて特異な地域だ。