さて、大阪市立大教授であった藤田和夫は、断層運動による近畿地方の山地の形成(六甲変動)を検討していた。藤田は花こう岩の円柱形のテストピースを使い、それに人工的に圧力をかけて破壊実験を行った。

 圧力が加わるとテストピースにX字型の割れ目が入り、中央部分が膨れて外に飛び出すことを明らかにした。そのとき、破壊時に、音、におい、光、電磁波などが出た。それらは、現在、地震発生前や斜面崩壊前に確認される現象である。

 そのにおいが、きなくさいような、ほこりっぽいような独特のものである。これが、今回、三浦半島で起きた異臭騒動の原因である可能性があるのだ。地震を発生させるような岩体の崩壊やプレートの固着域がはがれることは、本震が発生する前から進行する。

 今回の異臭だけで、巨大地震が発生すると断定することはできないが、そのほかの状況証拠は多く見つけられている。このような異臭が房総半島南部で発生したり、三浦半島で度重なり発生したりするようであれば、極めて巨大地震に注意が必要だ。この注目していたまさにその地点である千葉県南部の館山付近で6月16日に深さ50キロ、M4・2の地震が生じたのである。

 なお、最近、フィリピン海プレートとユーラシアプレートを原因とする地震が宮古島、石垣島、沖縄本島、奄美大島など琉球列島で発生。また、神奈川県、山梨県南部、静岡県、愛知県、岐阜県美濃北西部、三重県、奈良県、兵庫県などでも頻発している。

 さらに、フィリピン海プレートの圧力でユーラシアプレート内部に溜まったマグマが噴出する火山活動が、諏訪之瀬島、薩摩硫黄島、口永良部島、桜島、霧島山の新燃岳と硫黄山、阿蘇山などで盛んになっている。
噴煙を上げる阿蘇山=2016年4月16日、熊本県阿蘇村
噴煙を上げる阿蘇山=2016年4月16日、熊本県阿蘇村
 これらの現象は、北米プレート同様にユーラシアプレートもフィリピン海プレートの圧力に耐えかねている証拠である。6月10日午前0時22分にも土佐湾の深さ20キロを震源としたM4・6の地震が発生した。

 くり返しになるが、三浦半島の異臭の原因が分からないだけに、巨大地震の前触れとして警戒するに越したことはない。