菅原豊(戦略PRプロデューサー)

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が解除され、徐々にではありますが日常が戻りつつあります。目に見えないウイルスに対して感染予防策を講じるという、全く未経験のハードルがある中、各地で観光プロモーションの再考も事実上始まったと考えてよいでしょう。

 しかし、第2波、第3波が来る可能性は依然としてありますし、また、次の冬に再燃する可能性もあり、新しい生活様式下での観光産業を作り上げなければならない、という命題は依然として変わりません。

 そこで、「withコロナ」時代の観光地域の復活戦略として、今回も3つの指針を示してみたいと思います。


・感染予防策だけでなく、それを知らせる活動を!

・「withコロナ」の観光地は仲間づくりを!

・ターゲットは「お隣」さん!

 まず、一つ目は感染予防策。新型コロナウイルスはモノに付着するとなかなか消えないという強敵のようで、私たちの日常生活も日々ピリピリしてきています。この非常にあやふやでストレスのかかる中で、観光産業を再興させなければなりません。

 業種業容ごとの感染予防マニュアルのほか、市町村や特定のエリアが連係するDMO(観光地域づくり法人)単位で基準を作ったり、認証制度を作ったりと、さまざまな動きが並行して動いてきています。ただ、ウイルスの解明には時間を要することと、正しい感染予防策とは何か、を断定できない状況です。

 こうした中では、誰かの指示を待つより、皆がアンテナを立て、情報を集め、動きながら実行することが求められます。さらに、周りの動きを見ながらよいと思ったら真似をして、コミュニケーションをとりながら、柔軟に対応していくことが大切だと思います。

 一方、観光に出かける人の視点から見るとどうなるでしょうか。感染症罹患の恐怖やリスクという点では、観光客を受け入れる側も、観光に出かける人も、同じです。ですが、観光客の立場なら、自ずと感染予防策をとっていることを知り、より心配が少ないと判断する場所に出かけることになるのは自然な流れでしょう。

 各観光地が非常に綿密に感染症予防策に取り組まれている現状は、われわれのような観光事業者と日ごろ接している者は自ずと知ることになりますが、一般的に見ると、「感染予防策を講じてはいるが、積極的に開示するまでに至ってない」というのが実態のようです。
有馬温泉の旅館「陶泉 御所坊」でパネル越しに案内する仲居=2020年6月4日、神戸市
有馬温泉の旅館「陶泉 御所坊」でパネル越しに案内する仲居=2020年6月4日、神戸市
 今、新聞や雑誌、テレビ、ネットサイトと、多くのメディアはコロナ禍から脱出して、地域経済、日本経済を復活させようといろいろな取り組みをしている事例や実態を取り上げる傾向があります。

 その前向きな動きに関する記事やニュースに触れると、クラスターがどこかで起きるかもしれないと思いながらも、心が明るくなります。今われわれが直面する命題は「感染予防策をとりながら、いかに観光産業を復活させるか」というこの一点です。