2020年06月19日 11:34 公開

インドと中国の軍が国境を争うヒマラヤ山脈地帯で衝突し、インド兵20人以上が死亡した紛争で、中国はインド兵10人を解放したとインドのメディアが18日伝えた。

インド紙インディア・トゥデイの編集主任シヴ・アルー氏は、両国が17日に交渉し、インド兵10人が18日夕方に解放されたとツイッターに投稿した。

インド紙ヒンドゥーは軍関係者の話として、解放されたインド兵には中佐1人と少佐3人が含まれていると報じた。

インド政府は兵士の解放や行方不明について明らかにしていない。

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インドと中国の衝突は北部ラダック地方のガルワン渓谷で15日に発生。インド兵に多数の死者と、76人以上の負傷者が出ており、両国の緊張が高まっている。

中国は自軍の死傷者について公表していない。

インドと中国は互いに領土を侵入されたと主張している。全長3440キロに及ぶ両国の国境はあいまいで、地形の変化とともに変更されている。

くぎを付けた鉄の棒を使用か

インド兵解放のニュースに先立ち、衝突の際に中国軍が使ったとされる武器が18日、明らかになった。

国境警備に当たるインド軍の幹部からBBCが入手した写真には、多数のくぎが付けられた鉄の棒が写っている。幹部は中国軍が使用したものだとしている。


この写真はツイッターで拡散されており、インドで怒りの声が出ている。写真について、インドも中国も当局はコメントしていない。

両国は1996年、緊張悪化を防ぐため、係争地での銃器や爆弾を禁止することで合意している。

メディアによると、今回の衝突は標高約4300メートルの険しい尾根部分で発生。氷点下の気温の中、急流のガルワン川に落下した兵士もいたという。


核保有国の両国が国境付近で銃器を使わずに衝突したのは、これが初めてではない。

先月も、ラダック地方のパンゴン湖や北東部シッキム州で両国兵士が殴り合うなどした。

最後に銃撃があったのは、1975年にインド北東部アルナーチャル・プラデーシュ州の国境付近で起きた衝突で、インド兵4人が死亡した。以来、両軍による発砲は起きていない。

双方が主権を主張

インドと中国の国境地帯ではこのところ小さな衝突が起きていたが、死者が出たのは過去45年以上で初めてだった。

インドのメディアは、中国兵も40人以上が死亡したとの未確認情報を伝えている。

中国当局は18日、「ガルワン渓谷地域の主権」を主張。インド当局はこれを、「誇張であり受け入れられない」と反論している。


17日には、インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相と中国の王毅外相が電話で会談。インド外務省の報道官によると、両外相は「全体状況を責任ある方法で扱うことで合意した」。

電話会談後、インド政府は声明を発表。戦略上の要衝であるガルワン渓谷で、事実上の国境である実効支配線(LAC)のインド側に、中国軍が建造物を建てようとしたとした。

また、そうした行動は「周到に計画されたものであり、暴力と犠牲者を生む直接の原因となった」とし、中国に「間違いを正す」よう求めた。

一方、中国政府の声明で王氏は、「中国は改めてインドに強い抗議を表明するとともに、インドに詳細な調査と(中略)同じことが起こらないために挑発的な行動の中止を要求する」と述べた。


インドは、中国がガルワン渓谷に数千人の部隊を送り込み、インドの領土を3万8000平方キロにわたって占拠していると主張している。

両国は過去30年間で何度か協議を重ねてきたが、国境問題は未解決のままだ。

(英語記事 China 'releases Indian soldiers' after border clash