2020年06月19日 11:51 公開

米連邦最高裁判所は18日、幼少時に親に米国に連れて来られた不法移民を保護する制度(DACA)を廃止するとしたドナルド・トランプ米大統領の決定を認めない判断を示した。

DACAは、幼少時に米国に連れて来られて不法移民となった「ドリーマー」と呼ばれる若者約65万人の強制退去を遅らせる制度で、バラク・オバマ前政権時に制定された。

トランプ政権は2017年からDACAの廃止を求めてきた

米連邦最高裁は18日、トランプ政権はDACAを廃止する理由を十分に説明しておらず、廃止の判断は連邦行政手続法に違反するとした下級裁判所の判断を5対4で支持。ホワイトハウスの「気まぐれな」説明を批判した。

連邦行政手続法では、「恣意的で気まぐれで、裁量の乱用あるいは法に従っていない」政策や、「実質的証拠の裏づけがない」政策は行えないとしている。

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トランプ氏の反応は

トランプ大統領はツイッターの連続投稿で、最高裁の決定を糾弾した。

「最高裁によるこうした恐ろしい、政治的圧力を強く受けた判断は、自分たちは民主党員や共和党員だと宣言することを誇りに思っている人々の顔をショットガンで攻撃するような衝撃的なものだ」

トランプ氏は、空席ができた場合により保守的な裁判官を最高裁に置くために今年11月の大統領選で自分を再選させるよう、有権者に呼びかけた。

また、DACAを廃止するための「プロセスを一からやり直す」ことを示唆。「最高裁が私のことを嫌っているという印象を受けるだろう?」とツイートした。

DACAを導入したオバマ前大統領は今回の決定を称賛し、「この移民国家に真に値する制度を完全に」確保するために、今年11月に民主党の大統領を選出するよう有権者に求めた。

大統領選でトランプ氏と争うジョー・バイデン前副大統領は、トランプ氏に勝利した場合にはDACAを恒久的な制度にするよう努めると述べた。

政権に不利な判決は今週2度目

保守派とされることの多いジョン・ロバーツ最高裁長官はこの日の判決でリベラル派を支持した。

ロバーツ氏がトランプ氏に不利な判決を下したのは、今週で2度目。

15日には、同性愛者やトランスジェンダー(出生時の身体的性別と性自認が異なる人)であることを理由に解雇するのは、公民権法に違反しているとの判断を示し、LGBT活動家たちにとって大勝利となった。トランプ氏の指名で最高裁判事となったニール・ゴーサッチ判事が判決文を作成した。

トランプ氏は大統領在任中、ほかにブレット・キャバノー氏を判事に指名している。最高裁は近代史上最も保守寄りになっていると広く受け止められている。

しかし昨年、ロバーツ最高裁長官はリベラル寄りの判事を支持し、2020年の国勢調査で米市民権(国籍)の有無を尋ねる質問を追加するというトランプ政権の計画を阻止した。人権団体らは、移民や人種的マイノリティー(少数派)世帯の回答率が低下する可能性があると批判していた。

一方で最高裁は、ほかの2つの主要政策についてはトランプ政権を支持してきた。

2018年にはイスラム圏5カ国からの入国制限措置を支持したほか、2019年にはトランスジェンダーの米軍入隊を禁止する措置を認めた。

DACAとは

DACAで保護されている若者のほとんどは、メキシコや中南米諸国の出身だ。

DACAは、2012年6月の制度導入時に31歳未満で、16歳になる前に米国に入国したものの、正規の在留資格を得ていなかった若者が対象だった。住所や電話番号といった個人情報を国土安全保障省(DHS)に提出する必要がある。

連邦捜査局(FBI)の身元調査を受け、犯罪歴がなく、通学中か卒業して間もない、あるいは軍から正規に退役した若者について、2年間は強制送還手続きをとらないという制度だ。

2007年以降に米国に居住している個人のみに適用される。

DACAが適用されている人々はBBCに対し、今回の判決に安堵(あんど)し、驚いたと述べた。そして多くが、これからも移民制度改革を訴え続けると述べた。

テキサス州のフアナ・グズマンさん(28)は、「これはすごく必要とされていた勝利だ。そして、私たちがDACAで保護されていない自分たちの残された家族や地域社会のために前進し続け、闘い続けるために必要な力を与えてくれている」と述べた。

メツリ・サンチェスさん(23)は、「今回は大勝利となったが、DACAの保護を受ける資格があるのに受けられない人々のため、闘い続ける必要がるという圧力をかけ続けなければならない」と述べた。

(英語記事 Trump's bid to end immigration policy 'unlawful'