2020年06月21日 16:52 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領は20日夜、南部オクラホマ州タルサで、11月の大統領選にむけて3カ月ぶりに選挙集会を開いた。選挙集会は新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)の影響で中止となっていた。

トランプ氏は15日、バンク・オブ・オクラホマ・センターでの集会に、100万人近くの申し込みがあったとツイートしていた。

しかし実際には、1万9000人収容のアリーナは満席には程遠く、「入りきれない」人たちのために用意した屋外会場での演説は断念することとなった。

アリーナ内では上層階はほぼ空席だった。実際の動員数はまだ明らかになっていない。

「検査を遅らせた」

トランプ氏は2時間近く続けた演説の中で、新型ウイルスへの対応については、検査をすると感染者の発見増加につながったため、当局にウイルス検査の実施スピードを落とすよう促したとし、ウイルス検査は「諸刃の剣」だと述べた。

トランプ氏は、ウイルス検査には「悪い部分がある。検査をすればもっと多くの感染者が見つかり、感染者数が増える」と、歓声を上げる観衆に語った。「だから『検査スピードを緩めろ』と言ったんだ」。

ホワイトハウスはその後、トランプ氏は「明らかに冗談を言っていた」と述べた。

集会をめぐっては、COVID-19(新型ウイルスによる感染症)が拡大するのではないかとの懸念が上がっていた。

開始のわずか数時間前には、集会スタッフ6人がウイルス検査で陽性だったとトランプ陣営は発表した。

再選を目指すトランプ氏の選挙集会は、アメリカ国内で開かれる屋内集会としては、同国のロックダウンが始まって以来で最大規模のイベントの1つ。

参加者は、集会後にどのような病気にかかっても、トランプ選対の責任は問わないという免責の同意書にサインしなければならなかった。

オクラホマ州の最高裁判所は19日、集会での社会的距離措置の順守を求める地元住民らの訴えを棄却した。しかしトランプ陣営は、参加者には会場に入る前に検温を実施し、マスクを提供するとした。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカではこれまでに225万4000人以上が感染し、11万9000人以上が死亡している(日本時間21日午後2時時点)。

終わらない新型コロナ禍や世情不安、支持率低下などを背景に、トランプ氏としては得意の大規模集会を活力源にしたかったところだろうが、2016年大統領選の時のような集会を開いても、集まったのは宣伝されていたような100万人規模の支持者には遠く及ばず、トランプ氏の安心材料にも到底ならかったと、BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は指摘する。

トランプ氏の演説内容は

支持者は今週初め、少なくとも10万人がタルサ中心部に集ると予想される中、アリーナに入れるよう並び始めた。

しかし参加者数が予想を下回ったため、トランプ陣営は屋外での演説を中止。「過激な抗議者」やメディアが支持者を「怖がらせて追い払おう」としたと非難した。

会場の外では騒然とした場面もあったが、深刻なトラブルは報告されなかった。

トランプ氏は演説の冒頭で、「すごく悪いやつらが外で悪いことをしている」と切り出したが、詳細は述べなかった。

また、会場を訪れた集会参加者は「戦士」だとし、「サイレント・マジョリティ(静かな多数派)」は「これまでにないほど強い」と述べた。

トランプ氏は大統領選で争う野党・民主党のジョー・バイデン前副大統領について、「急進左派の無能な操り人形」だと呼んだ。

中西部ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に暴行され死亡して以来、すでに1カ月近く各地で続く抗議行動については、「ねじの外れた左派の暴徒が、この国の歴史を打ち壊そうとしてる。記念碑を汚し、像を倒し、絶対的で完全な支配を求める自分たちの要求に準じない者は誰でも、罰して否定して攻撃しようとしている。我々は準じない」と述べた。

感染拡大、反人種差別運動をめぐる懸念

今回の集会は、「スーパースプレッダー(きわめて多数の人に二次感染させる感染者)」イベントになりうると懸念される中で開催された。

タルサのG・T・バイナム市長はフェイスブックで、同市でこのようなイベントがロックダウン開始以来で初めて開催されることをめぐり、住民の意見が割れていることを認めた。

「我々はこのイベントを開催する。COVID-19の陽性者が増加しているが、病院の受け入れ態勢がしっかりしたままなので。これを素晴らしいと考える人もいれば、無謀と捉える人もいる。各自がどう思うかはともかく、我々は1つのコミュニティとしてまとまって対応する」

タルサ当局者の間では、トランプ氏の支持者と反トランプ派が衝突するのではないかとの懸念もあった。

バイナム市長は18日、「市民の不安」につながる危険性を理由に、会場周辺に夜間外出禁止令を出した。しかしトランプ氏は19日、「自分たちのたくさんの支持者」のために夜間外出禁止令は解除されたとツイートした。

トランプ氏はさらに、「オクラホマ州に行こうとしている抗議者や無政府主義者、扇動者、略奪者あるいはごろつきは、ニューヨークやシアトルあるいはミネアポリスでのような扱いはされないと承知しておくように。まったく違う光景になる!」と警告していた。

トランプ氏は当初、19日に選挙集会を開くつもりだったが、この日が「ジューンティーンス」と呼ばれる、アメリカで奴隷制度が終わった日にあたるため、日程を変更していた。

集会場所の選定も物議を醸している。タルサは1921年、白人の暴徒が黒人や黒人の企業を襲撃して推定300人の死者を出した大虐殺が起きた場所だ。

人権活動家のアル・シャープトン師は19日にタルサで行われた平和的な集会で、今度こそ全員にとって「アメリカを偉大」な場所にできるチャンスだと、各地で抗議集会に関わる人たちを応援した。

(英語記事 Trump holds Tulsa rally amid virus fears