2020年06月22日 13:10 公開

ドナルド・トランプ米大統領がオクラホマ州で20日夜に開いた選挙集会の参加者が予想より少なかったことをめぐり、動画共有アプリTikTok(ティックトック)利用者と韓国音楽Kポップのファンたちが絡んでいると見方が出ている。ただし、トランプ陣営は21日、これを否定した。

11月の大統領選に向けたトランプ氏の選挙集会は、オクラホマ州タルサのバンク・オブ・オクラホマ・センターで開かれた。

トランプ氏は100万人の参加者を見込んでいるとツイートし、1万9000人収容のアリーナに入りきれない人のため屋外での演説も予定していた。しかし、実際には空席が目立ち、屋外での演説はキャンセルされた。

地元消防関係者は、6000人を超える程度が参加したとメディアに述べた。しかしトランプ陣営は、参加者はそれよりずっと多かったと主張している。

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この夜の集会については、参加するつもりのない10代若者らが次々とチケットを予約し、空席を作ったとの説が浮上している。

だがトランプ陣営は、偽の予約は排除していたと反論している。

陣営の主張

トランプ氏の選挙対策責任者ブラッド・パースカル氏は声明で、参加予約は先着順だったとし、「偽の予約があったとはまったく考えてない」と説明。メディアと抗議者たちが、家族で参加しようとした人たちを思いとどまらせたのだと主張した。

「参加者数に影響を与えたと大喜びしている左翼とネット民は、的外れなことを主張しているし、選挙集会がどう開かれるのかわかっていない」

「集会参加の申し込みは、携帯電話の番号で確認することになっており、私たちは偽の番号を常に排除している。タルサの集会でも何万もの番号を排除し、参加者数を予測した」


一方、元共和党の選挙参謀で、トランプ氏に批判的なスティーヴ・シュミット氏は、集会に参加する意思のなかった全米各地の10代の若者らが予約をしていたと主張。自分の16歳の娘とその友人らが「何百人分もの」チケットを予約していたとツイートした。

これを受け、自分の子どもも同じことをしていたとする親たちのツイートが相次いだ。

民主党進歩派として存在感を増しているアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員はツイッターで、そうした若者とKポップファンたちをが「トランプ選挙運動で偽のチケット予約を大量にした」と称賛した。

動画に70万以上の「いいね」

トランプ陣営が何十万にも及んでいるとしていた予約のうち、どれくらいが参加意図のない人によるものだったかは明らかではない。ただ、無料チケットに登録して空席をつくるよう呼びかけた、6月12日投稿のティックトックの動画には、70万以上の「いいね」がついている。

この動画は、トランプ陣営が選挙集会を6月19日に開くと発表した後に投稿された。19日はアメリカの奴隷解放を祝う記念日ジューンティーンスと重なるうえ、開催場所のタルサは米史上最悪規模の人種差別に基づく集団殺害があった土地であることから、発表は怒りの声を生み、集会は20日に変更された。

一方、Kポップファンたちは、アフリカ系米国人ジョージ・フロイドさんの暴行死を受けて発生した「黒人の命は大事」(Black Lives Matter、BLM)の抗議行動に反対する勢力のハッシュタグをソーシャルメディア上で圧倒し、募金を集めている。

タルサで取材したBBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者によると、集会の主催者は常に会場の収容人数を超える人数の予約を受け付ける。そのため、偽の予約は真の支持者を締め出すものではないという。

しかし偽の予約によって、トランプ陣営は実際より多くの人が参加の意向だと受け止めたようだと、ザーカー記者は言う。また、陣営が自慢した約100万の予約のうち、本物が半数程度だったとしても、会場にはもっと参加者がいただろうとした。

新型ウイルスの懸念

今回の選挙集会は、新型コロナウイルス対策のロックダウンが国内各地で実施されてから初めてのものだった。そのため、COVID-19(新型ウイルスによる感染症)が拡大するのではないかとの懸念が出ていた。

参加者は、どのような病気にかかってもトランプ陣営の責任は問わないとする同意書にサインしなくてはならなかった。開始のわずか数時間前には陣営が、集会スタッフ6人がウイルス検査で陽性だったと発表した。

トランプ氏はこの日の約2時間に及んだ演説で、COVID-19の大流行にもわずかに触れた。

オクラホマ州の最高裁判所は19日、集会での社会的距離措置の順守を求める地元住民らの訴えを棄却した。トランプ陣営は、参加者には会場に入る前に検温を実施し、マスクを提供するとした。


今回の集会は、「スーパースプレッダー(きわめて多数の人に2次感染させる感染者)」のようなイベントになりうると懸念される中で開催された。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカではこれまでに227万9000人以上が感染し、11万9000人以上が死亡している(日本時間22日午前10時時点)。

トランプ氏の演説

トランプ氏は演説の冒頭で、「すごく悪いやつらが外で悪いことをしている」と切り出したが、詳細は述べなかった。開会前には会場の外に、「黒人の命は大事」と訴える抗議行動者らも集まっていた。

新型ウイルスについては、検査をすると感染者の発見増加につながったため、当局にウイルス検査の実施スピードを落とすよう促したと主張。ウイルス検査は「もろ刃の剣」だと述べた。

トランプ氏は、ウイルス検査には「悪い部分がある。検査をすればもっと多くの感染者が見つかり、感染者数が増える」と、歓声を上げる観衆に語った。「だから『検査スピードを緩めろ』と言ったんだ」。

また、新型ウイルスはいくつも名前があるとし、発生源の中国を意識したとみられる「カン・フルー」(Kung Flu)という、外国人への嫌悪を示す呼び名もあると述べた。

ホワイトハウスはその後、トランプ氏はウイルス検査について、「明らかに冗談を言っていた」と述べた。

トランプ氏は大統領選で争う野党・民主党のジョー・バイデン前副大統領について、「急進左派の無能な操り人形」だと呼んだ。

また、話題が反人種差別の抗議行動や歴史上の人物の像が倒されていることに及んだときも、攻撃的な姿勢を見せた。

「ねじの外れた左派の暴徒が、この国の歴史を打ち壊そうとしてる。記念碑を汚し、像を倒し、絶対的で完全な支配を求める自分たちの要求に応じない者は誰でも、罰して否定して攻撃しようとしている。我々は応じない」

(英語記事 Trump campaign rejects low turnout manipulation