2020年06月23日 11:44 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒のウイグル人拘束をめぐる中国当局者への制裁措置について、中国との「貿易交渉の真っ最中」だったため制裁は実施しなかったと、ニュースサイト「Axios」で述べた。

トランプ氏のインタビューは19日に行われ、その内容は21日にオンラインに掲載された。

トランプ氏は「素晴らしい」取り引きを達成したことで、「追加制裁」を科すことができなかったと述べた。

中国は教化や処罰のために、西部・新疆ウイグル自治区の収容施設に約100万人のウイグル人やほかの民族グループを収容しているが、虐待の事実を否定している。

この問題は、23日に出版されるジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の回顧録「The Room Where It Happened」(それが起きた部屋)に書かれていたことから、疑惑として浮上した。

ボルトン氏は昨年の米中首脳会談に先立つG20サミット夕食会での会話について、著書で言及。トランプ氏は、新疆ウイグル自治区における収容施設の建設について、「正しいこと」なので進めるべきだと述べたとした。トランプ氏はこの疑惑を否定している。

トランプ氏の主張は

Axiosによると、ウイグルの収容施設問題をめぐる中国共産党幹部に対する追加制裁を保留にしていた理由を問われたトランプ氏は、「まあ、大きい貿易取引の真っ最中だったので」と答えた。

「それに、交渉の最中に突然、追加制裁を始めるのはどうだろうか。すでにたくさんやっていたし。私は中国に関税をかけた。どんな制裁よりこの方がひどい」

米中の厳しい貿易戦争の一貫として、アメリカは3600億ドル相当の中国製品に関税をかけた。一方の中国も、報復措置として一方の中国も、1100億ドル相当の米国製品に関税をかけたが、米中は今年1月に貿易戦争の緊張緩和を目的とした「第1段階」の合意文書に署名した。

人権侵害に対抗するために2016年に米議会で可決したグローバル・マグニツキー法をなぜ適用しなかったのかについては、「中国について、誰も(その法律に)具体的に言及しなかった」とトランプ氏は述べた。

Axiosはまた、トランプ氏が11月の大統領再選を目的に、中国の習近平国家主席の支援を取り付けようとしていたとするボルトン氏の主張について、トランプ氏に迫った。ボルトン氏は、「彼(トランプ氏)は米農家の票と、中国が大豆と小麦の購入を増やすことが、選挙結果を左右すると強調した」と振り返っている。

トランプ氏は、「いや、それは全く違う。習主席に限らず、私は全ての取引相手に同じことを伝えた。この国とビジネスをしてほしいと。この国のためになることは、私のためにもなるので」と答えた。

「だが、私は『お願いだから選挙で助けてくれ』などと、言って回ったりしない。なんで私がそんなことを言うんだ」

新疆ウイグル自治区をめぐる中国への非難

活動家たちは、中国がイスラム教徒グループの文化を破壊し、習慣を禁止して、力ずくで中国に同化させようとしていると主張している。

一方の中国は、新疆ウイグル自治区の施設はイスラム過激派をターゲットにした職業訓練センターだとしている。

今年3月のある報告によると、何万人ものウイグル人が中国中の工場で働くために同自治区から移送されたという。

中国国営メディアは、労働者の移送は任意によるものだと伝えた。

アメリカのこれまでの対応は

トランプ政権はこれまで、人権問題をめぐり、中国を公然と標的にしていないとして批判されてきた。しかし、一部省庁は中国のウイグル人の扱いについて公に批判してきた。

米国務省は拷問や虐待について非難してきたし、米商務省は新疆ウイグル自治区での問題をめぐり、中国当局者に対していくつか制裁を科してきた。

中国企業への一部輸入制限や、一部の中国当局者に対するビザ発給の禁止、強制労働の下で生産された商品の禁止などが科されたが、財務省のより強力な制裁はなかった。

トランプ氏は17日、新疆ウイグル自治区をめぐる中国当局者に制裁を科す「ウイグル人権法案」に署名したが、適用については自分が決めるとしている。

米国務省は22日、中国の報道機関、中国中央テレビ、中国ニュースサービス、人民日報、グローバル・タイムズの4社について、報道機関ではなく「プロパガンダ機関」だとして、宣伝機関に指定した。

これらの機関は、アメリカ拠点を置くスタッフの情報や不動産取引について米政府に申告しなければならなくなる。一方で、報道活動は制限されない。

(英語記事 Trump held off Uighur sanctions for China deal