2020年06月23日 12:20 公開

イギリスの名門男子校イートン校は22日、黒人として初めて同校の課程を修了した元生徒に対する人種差別について謝罪した。

ナイジェリアの作家ディリベ・オンエアマ氏は、1969年にイートンの修了証明書を取得した。オンエアマ氏はその後、イートン校で受けた差別について著書に書き、その後の学校訪問を禁止された。

サイモン・ヘンダーソン校長は、当時の状況に「愕然(愕然)としている」と語り、「あれから私たちは相当に進歩してきた」と述べた。

その上で、「もっとやるべきことがある」と認めている。

警告:この記事には人種差別的な表現が含まれます

イートン校は1440年、ヘンリー6世によって創設された全寮制の私立校で、日本の中高一貫校に当たる。当時は貧しい子どもの教育を行っていたが、現在の学費は年間4万ポンド(約530万円)以上。ただし、奨学金制度もある。

過去に20人の首相を輩出しており、ボリス・ジョンソン首相もそのひとり。このほか、イギリス王室ケンブリッジ公爵ウィリアム王子、サセックス公爵ハリー王子、イギリス国教会の最高指導者、カンタベリー大主教のジャスティン・ウェルビー氏など、イギリス社会の要職に就く人の多くが、イートン出身だ。

また現在、黒人の生徒は7%、アジア系は8%、複数人種の生徒は5%ほどだという。

ヘンダーソン校長はBBCの取材で、「オンエアマ氏のイートン在校時以降、私たちは相当に進歩してきた。しかし、世界中で何百万もの人が人種差別と不平等に抗議の声をあげている今、学校として、そして個人として、もっとやるべきことがあると認める謙虚さを持たなくてはならない」と話した。

また、オンエアマ氏をイートン校に招いて直接謝罪をし、「いつでも歓迎するという意思をはっきり示したい」と述べた。

「私たちは誰もが声を上げて、今後ずっと、もっときちんと行動すると約束しなくてはならない。本物で持続的な改善のきっかけになるよう、今のこの時をなんとしてもつかまなくてはならないと、私は意を強くしている」

オンエアマ氏は何と?

オンエアマ氏は、イートン校に対する自分の評価は総じて前向きなもので、謝罪の必要はないと述べた。

その一方で、イートン校からの謝罪によって「他の偏見と違い、肌の色や人種に基づく偏見は被害者を人間扱いしないものだと、認識せざるを得なくなる」と話した。

オンエアマ氏はBBCの過去の取材でも、イートン校で同級生などから毎日のように差別されたと話していた。

その中には、「何で黒いの?」「髪の中に何匹虫がいる?」「お母さんは鼻に骨を刺してるの?」といった質問もあったという。

カンニングを疑われた

また、学業の成績が悪かったり、スポーツで高得点を取ると、それは人種のせいだと言われたという。

一方で、7科目で中等教育修了一般資格(高校卒業試験に相当)を取得した時は、学校中が混乱した。

オンエアマ氏は著書の中で、「私は何度も何度も『どうやったんだ? カンニングしたんだろ?』と言われた」と書いている。

イートン校を離れた後、オンエアマ氏は同校での体験を回想録にまとめた。すると1972年には、学校訪問を禁止するという正式な書簡がイートン校から届いたという。

アメリカで黒人男性が白人警察官に暴行を受けて死亡した事件をきっかけとした「Black Lives Matter」の抗議運動はイギリスにも広がっており、過去に奴隷貿易との関連があった保険会社やパブ・チェーンなどの大企業などが相次いで謝罪している。

(英語記事 Eton apologises to Nigerian ex-student for racism