2020年06月24日 13:18 公開

アメリカの感染症専門家らは23日、新型コロナウイルス対策を調査する議会委員会に臨み、同国の一部で「憂慮すべき急増」がみられると証言した。

国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士ら4人の専門家は、新たな感染流行を抑えるうえで、今後数日間が重要だと述べた。

アメリカでは多くの州で、感染者数が急激に増えている。

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ファウチ氏は委員会で、南部と西部の多くの州において「憂慮すべき感染の急増」と「地域での感染拡大の増加」が起きていると警告を発した。

同氏は、「数日前の新規感染者は(1日あたり)3万人だった」と指摘し、「とても懸念している」と発言。

「テキサス、フロリダ、アリゾナなどの州でみられるこうした急増に対しては、今後数週間の対策が重要になる」と述べた。


疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は、ウイルス検査は「対策の大事な土台」だが、感染拡大の抑制には社会的距離の確保のほうが効果的だと述べた。

また、全国民が今年、インフルエンザワクチンの予防接種を受けることが必要だとし、ワクチンを信頼するよう呼びかけた。

ワクチン開発の見通しは?

新型ウイルスのワクチンについては、ファウチ氏は今年末までの開発を「慎重ながら楽観している」と述べた。

同氏は、ワクチン開発は「可能性ではなく時間の問題」だとしたが、「しばらくかかるかもしれない」と説明。製薬会社モダーナについて、「フェーズ2の臨床試験でよい結果が得られれば、今年7月にもフェーズ3の臨床試験を始める」と述べた。


国民にマスク着用を早期に呼びかけなかったことについては、個人用防護具が不足し、医療関係者に回す必要があったと述べ、自らの判断は正しかったと主張した。

マスクをめぐっては、いくつかの市や郡が先週以降、新たに着用を義務付けている。

ファウチ氏は委員会で、「第1に、混雑した場所に行かないこと。第2に、もし行くならマスクを着けること」と呼びかけた。

トランプ氏の説明と食い違い

専門家4人はまた、ドナルド・トランプ大統領にウイルス検査を「遅らせる」よう指示されたことはないと証言した。

これは、トランプ氏が20日のオクラホマ州での選挙集会で、感染者数を低くするために検査を減らすよう求めたと述べたことを受けたもの。

ファウチ氏は、「私が知る限り、私たちの誰も検査を遅らせるよう言われていない」、「実際には検査を増やしている」と述べた。

疾病対策センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)、保健福祉省のそれぞれから出席した他の3人の専門家も、検査のペースを緩めるよう言われたことはないと証言。トランプ氏の発言に異を唱えた。

「冗談ではない」

トランプ氏の発言をめぐっては、政府関係者が「冗談」だったと説明していた。

ところが同氏は23日、記者団に「冗談ではない」と述べ、関係者の説明と食い違いを見せた。

アメリカの新型ウイルスの死者は12万人を超え、世界最多になっている。

しかしトランプ氏は同日、アリゾナ州フィーニックス開かれた選挙集会で、新型ウイルス「伝染病」は「消えつつある」と話した。

また、新型ウイルスを改めて「カン・フルー」(Kung Flu)と呼んだ。発生源の中国を意識した、外国人嫌悪を示す呼び名との指摘があるが、政府は人種差別的な呼び名ではないと主張している。

同州ではこの日、トランプ氏が到着する数時間前に、1日あたりの新規感染者数が過去最高を記録したばかりだった。

同州当局は、州内の病床の8割以上が埋まっていると説明。今後数日から数週間で、現行の医療制度では対応し切れなくなる恐れがあると述べた。

どこで感染が増えている?

全米50州の半数以上の州で、1日あたりの感染者の新規確認が増加している。


過去最高を更新したテキサス州とフロリダ州は、新たなロックダウン(都市封鎖)を宣言せざるを得ないかもしれないとしている。両州では現在、制限解除を受けて種々の再開計画が進められている。

フロリダ州では22日、累計感染者が10万人を突破。マスク着用は州レベルでは義務付けられていないが、市や町が公共の場での着用を独自に義務付ける動きが出ている。

テキサス州当局は、社会的距離に関するルールを破った店舗に対し、酒類取り扱いの免許を無効にした。グレッグ・アボット知事は、新たなロックダウンは計画していないとしたが、「再びテキサス州を封鎖するのは、最後の手段として常にあり得る」と述べた。


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(英語記事 Top health officials warn of 'disturbing' new US surge