
2020年06月24日 14:06 公開
男子テニスで世界ランキング1位のノヴァク・ジョコヴィッチ選手(33)が23日、新型コロナウイルスに感染したことを明らかにした。
ジョコヴィッチ選手は、先日始まったバルカン諸国をめぐるテニス大会「アドリア・ツアー」の主催者の1人。ジョコヴィッチ選手はツイッターで、大会を開催するには「早すぎた」と説明。「私たちの大会が被害を及ぼしたことを謝罪します」と述べた。
また、アドリア・ツアーは「純粋な心」と「良い志」のもとに始まったもので、「すべての保健要件を満たしている」と思っていたと話した。
「しかしそれは間違っていたし、早すぎました」
他の3選手も陽性
ジョコヴィッチ選手の前には、アドリア・ツアーに出場したグリゴール・ディミトロフ選手(ブルガリア)、ボルナ・チョリッチ選手(クロアチア)、ヴィクトル・トロイキ選手(セルビア)が感染を発表していた。
ジョコヴィッチ選手の弟で大会ディレクターを務めるジョルジェ・ジョコヴィッチ氏は、アドリア・ツアーの残りの日程は中止されると発表した。
ジョルジェ氏は、「残念ですが、ここ数日で起こったことを踏まえ、いま最も重要なことは疫学的な状況を安定化させ、全員が回復することだという結論に至った」と説明している。
イギリスのアンディ・マリー選手は、感染者が出たことは「教訓になった」と話した。豪ニック・キリオス選手は、大会の開催は「浅はかな決定だった」と述べた。
ジョコヴィッチ選手のウェブサイトの声明によると、「(第2試合が終わって)ベルグラードに到着してすぐ、ノヴァクはベルグラードおよび(クロアチアの)ザダルで一緒にいた家族やチームと共に検査を受けた。ノヴァクは無症状だ」という。
またジョコヴィッチ選手は自身の声明で、向こう14日間は自主隔離を行い、5日ごとに検査を受けるとしている。
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男子プロテニス協会(ATP)のツアーは2月以来、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)で中止されている。アドリア・ツアーはATPツアーには含まれおらず、パンデミック以降で初めて開催されたテニス大会だった。
セルビアでの第1戦ではジョコヴィッチ選手とトロイキ選手が対戦し、4000人の観客が詰め掛けた。その後、選手達はベルグラードのナイトクラブで踊っているところを目撃されている。
第2戦はザダルで行われ、ディミトロフ選手とチョリッチ選手が対戦した。クロアチアでは新型ウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)が緩和されており、選手らは他者と距離を取るルールを守る必要はなく、試合後にネット越しに抱き合う姿も見られた。
19日には、ディミトロフ選手とジョコヴィッチ選手のほか、アレクサンダー・ズベレフ選手(ドイツ)、マリン・チリッチ選手(クロアチア)らがバスケットボールに興じている写真が、大会のソーシャルメディアアカウントに掲載されている。
アドリア・ツアーに参加しているズベレフ選手とチリッチ選手、アンドレイ・ルブレフ選手(ロシア)は検査で陰性だったものの、最長14日間の自主隔離を行う見通しだ。
ATPツアーは8月14日から再開予定。また、全米オープンも無観客で、8月31日~9月13日の日程で開催される見通しだ。しかし一部の選手から、ニューヨークへ移動することに懸念の声が上がっている。
<解説>ワクチン陰謀論をあおった後に、陽性 ――マリアンナ・スプリング、偽情報・ソーシャルメディア専門記者
ジョコヴィッチ選手はパンデミックの間ずっと、新型ウイルスの陰謀論に親しみ続けていた。
4月に行ったフェイスブック配信では、ワクチン接種に反対を表明。国際トーナメントに出場するためにワクチン接種が必要だとしても、「誰かにワクチンを強制されたくはない」と話していた。
ジョコヴィッチ選手のコメントは、ここ数週間フェイスブック上で出回っている、ワクチン義務化に対する陰謀論に影響を及ぼしている。
たとえば、16万人が参加している「ビル・ゲイツに集団抗議を! ワクチンは受けたくない!」というフェイスブックグループは、ジョコヴィッチ選手のコメントを歓迎し、ワクチンに関する偽情報を正当化する理由に使っている。
数日後には、ジョコヴィッチ選手の妻エレナさんが、新型ウイルスと第5世代移動通信システム(5G)に関わりがあるとする陰謀論の動画をソーシャルメディアで共有した。
この動画はインスタグラムによって、偽情報だと認定されている。
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