私は人生で2度の衆院選を経験してきたが「選挙を手伝ってあげますから」だとか「私は票を数百票持っていますから」とうそぶいて、金銭などを要求してくる「クレクレ有権者」がいたものだ。

 他にも「選挙区に住んでいるので、自分は有権者なんです」と印籠のように一票を掲げて、常識では考えられないような高額な商品やサービスを押し売りする人や、賃貸物件や事務所工事などで理不尽な契約を強要しようとする業者が頻繁に現れた。誰が仲介者でお金を抜いているのかと考えると、本当に頭にくる。

 ウグイス嬢自身からの売り込みも激しかった。「選挙になるとウグイス嬢は確保できませんよ。私なら、今決めていただく条件で特別に法定人件費の2倍でお受けします」などと、堂々違法話を持ち込んでくる輩(やから)が数多くいるのだ。

 もちろん、当選確実である与党議員にはそんなことはなく、むしろ「先生を私どもにも応援させてください」と献金やボランティアのオンパレードですり寄っていく。一方、野党議員や若手議員は足元を見られた揚げ句、多くが「クレクレ有権者」の言いなりになる。初陣が20代の小娘だった私など「いいカモが来た」と思われたに違いない。

 幸いにも、私は選挙に関してド素人だったので悪しき習慣を知らず、「お金の話でややこしくなるのは嫌なので」と一般常識的な思考から「クレクレ有権者」を追い返すことができた。

 だが、同じ「クレクレ」でも地方議員は巧みだった。「これは選対会議を皆で集まって開いたときの会議代や。立て替えといたからお金をくれや」と同じ飲食店の手書き領収書を大量に渡されたりした。

 他にも「俺の娘が今仕事してないんや。秘書に雇ってくれてもええで」だとか「君の選挙を手伝うには、なんやかんやで日頃からお金がかかる。持ってきといてくれなあかん。君と僕が言えへんかったら誰にもバレへん。安全や」などなど、枚挙にいとまがない。何度も何度も巧妙で危うい要求をされたものだ。
比例での復活当選を果たした日本維新の会・上西小百合氏2012年12月17日、大阪府吹田市(志儀駒貴撮影)
比例での復活当選を果たした日本維新の会・上西小百合氏
2012年12月17日、大阪府吹田市(志儀駒貴撮影)

 「お金にキレイな政党」と主張しているくせに、有権者の負託を受けた人間の言葉とは思えない悪質な要求をする議員を私は許せなかった。だが、その「クレクレ議員」を一蹴したところ、私の所属していた日本維新の会はなにぶん地方議員の立場が強い党だったので、急に党大阪本部で冷遇されるようになった。

 しかし、恐喝めいた要求や圧力におじけることなく、国民の代表である職責を果たす人間として、違法行為に手を染めなかったことは社会的に正しい。私の肌感覚でいえば「俺は票を持っているんだぞ」と言って見返りを要求してくる輩は、そもそも投票すら行っていないのではないか。

 真の支持者はそんなことを言わず、候補者の仕事ぶりや人柄を見て、きちんと応援してくれているものだ。だからこそ、こうした「クレクレ族」に金銭を渡すということは、支持者に対する侮辱行為だと私は思う。