ただ、自由に楽しく謳歌しすぎたのか、ビジョンが広がりすぎて足元が見えなくなってしまったのか、歯止めが利かなくなったタレントに危機感を覚えるほどになれば、事務所が勧告するのも無理はない。それでも変わらないのならば罰を与えるのは当然であり、致し方なく関係を断ち切ることもある。

 素行不良で解雇された田中聖(元KAT-TUN)と異なる部分は、手越の人気と性格が大事にされていた点だ。それでも「行き過ぎた行動」においては簡単に目をつぶることができなくなったということだろう。

 業界最大手となれば影響力も大きいことから、ある種の「お手本」的な立場でないとならない使命感があり、厳しく対処せざるを得ない。冒頭で記したように、32歳の社会人として考えや行動が子供すぎた結果にほかならない。

 要するにキーワードは「自粛」である。これができないのならば出て行って構わないという事務所の姿勢と「不要ではない急なる用事」で「法を犯しているわけではない」「事前にマネジャーに報告している」といった強気の手越の意見が対立したことが悪い方向に転がったというところだ。これまでのスキャンダルも含めて事務所からの信用が底をついた結果でもある。

 事務所の上層部からすれば、前社長のジャニー喜多川氏が亡くなった昨年7月9日の前日、飲み会でドンチャン騒ぎしていたという事実は許せない所業だ。最大の恩人が危篤で苦しんでいる最中のことであり、ジャニーズの所属タレントにとっては「家族」である。

 特に病室で見守り続けた滝沢秀明や東山紀之あたりは「こんなときに…」という思いが強く残っているはずだ。

 こうした思いを募らせていた中で発覚したコロナ禍での不謹慎な行動で、それが決定打になったのが真相であり、「円満」な部分はどこにも見当たらないのは誰の目にも明らかだ。にもかかわらず、マスコミを前にサービス精神満載で健全さをアピールすることで「今後の手越」をかなり押し出した感がある。

 会見でしきりに繰り返したのは「今後」だ。手越曰く、これも「パフォーマンス」なのだろうが、倫理的な解釈が一般的な感覚と大きくズレていることの表れであり、そこを本人が理解できていないのはイタイ部分だ。

 一方、天真爛漫で猪突猛進というだけで、悪人ではないことが分かるだけでなく、才能豊かなタレントと評価されているのも事実。それだけに、今回の「失敗」の始末の行方やファンがついていけるかどうかは不透明だ。
トークイベントに登場した歌手の赤西仁=2016年6月、東京・表参道ヒルズ
トークイベントに登場した歌手の赤西仁=2016年6月、東京・表参道ヒルズ
 ジャニーズを退所したことが、失敗ではなく成功との見方もある、SMAPの元メンバー3人による「新しい地図」や、元KAT-TUNの赤西仁などの独立でさえ、ジャニーズに所属していたときに比べファンは半数以下でしかなく、それもさらに減っているのが現実だ。それを恐れていれば「やりたいこと」は何一つできないわけだが、若い今だからこそ行動することについては賛成だ。