ただ「ジャニーズ」の所属かどうかで、全く異なる環境に感覚が慣れるまで違和感に苛まれることは避けられず、それを突破できるだけのテクニックが重要だ。ジャニーズでない手越、NEWSではない手越、これを定着させられるかどうかで先行きは決まっていくが、ファンの心理は全く別のところにある。

 手越やNEWSのファンと言っても、それはジャニーズのファンである。言い換えればジャニーズでなければ興味がないといファンはかなり多い。たとえ同じモノであっても「似て非なる」ものであり、ファンは素直に受け入れてはくれない。

 ライブハウスですぐ近くの目の前で歌う手越より、遠くて小さくしか見えないドームやアリーナで無数の歓声に包まれている「王子様」に魅力があるのだ。

 それはこれまでに退所したタレントが証明している。ドームを幾度となく満タンにしたスーパーアイドルもジャニーズを出た後、同レベルのステージに返り咲くことは一度もない。もちろん光GENJIやSMAPの元メンバーでさえ同じだ。米国で成功を収めたとされる赤西でも現実はそんな気配さえない。

 変わらないステータスを維持しているジャニーズ出身の最も成功した例は、郷ひろみだが、時代も形態も異なるので比較はできないだろう。最初からソロの田原俊彦(トシちゃん)も「たのきん」では可能だった球場コンサートも一人ではできないし、ヒット曲でさえ見当たらない。

 ファンの数や会場の広さがすべてではないが、ジャニーズかどうかの違いだけで大きく立場は変わるということだ。「これまでと変わらぬご支援をよろしくお願いします」と言ったところで、全く通じない。そもそも、ジャニーズではない手越に需要があるのかどうか問われ「ある!」と言えるのかどうか、その答えはすぐに分かるだろう。

 会見での手越の言葉を踏まえれば、タレントであり、アイドルであり、アーティストであり続けたいという願望は、持ち前の対応力である程度は実現するだろう。中身はどうであれメディアを活用したパフォーマンスやライブなどの活動に制限がなくなるだけに、自由な展開が可能になり、また自慢でもある「プレーン」との共存において一定の成功は可能だ。

 とはいえ、再度強調するが、ジャニーズであるかないかで芸能界での立場が大きく違うのだ。同じ人間が同じことをやっても「認められない」ということなのか、あるいは需要や「価値」そのものが失われてしまうか、改めて思えばジャニーズのチカラというのは絶大であり絶対的なものなのだと感心する。

 トシちゃんが「地上波復帰」とか、最近では今井翼(タッキー&翼)に連ドラが決まるとか些細なことが話題になるくらい恵まれない環境に陥る元ジャニーズ組。手越は「落ちた」と言われたくないと逆に邁進して向上してやるという勢いだが、芸能界には見えない壁と深く長い溝が自分を囲っていることを目の当たりにするはずだ。

 そんな厳しい環境下でも、手越に可能性があるとすれば、立ち居振る舞いの器用さが武器になり、人脈の使い方や用意周到さなどの行動力だ。それ加えて、ルックスとポジティブな性格も才能の一つといえよう。
会見に臨む手越祐也。右は高野隆弁護士=2020年6月23日、東京都内(蔵賢斗撮影)
会見に臨む手越祐也。右は高野隆弁護士=2020年6月23日、東京都内(蔵賢斗撮影)
 これまでにないジャニーズアイドルというポジションと、またこれまでにない脱退・退所の方法と新しいスタートスタイルがどう影響していくのか。賛否両論はあり、私は評価できないが、ファンや世間からみれば、初めの一歩としては、あの会見はどちらかといえば成功なのかもしれない。