2020年06月26日 12:08 公開

インドと中国が国境を争うヒマラヤ山脈地帯に、中国が倉庫などを建設していることが、人工衛星から撮影された写真で明らかになった。

インド北部ラダック地方のガルワン渓谷を撮影したこの写真では、5月には存在していなかった倉庫やテント、塹壕(ざんごう)などが確認できる。

この写真について、両国はまだ声明を出していない。

軍が衝突した地域で

ラダックでは15日に両国軍の衝突が発生。インド兵に20人の死者と、76人以上の負傷者が出ており、両国の緊張が高まっている。

中国側にも死傷者が出たとされているが、人数などは公表されていない。

インドと中国は互いに領土を侵入されたと主張している。全長3440キロに及ぶ両国の国境はあいまいで、地形の変化とともに変更されている。

現在は、緊張緩和のための協議が進められている。

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この衛星写真は宇宙技術開発を手掛けるマクサーが撮影したもので、6月22日付のもの。15日に衝突が起きた場所の近くだという。

ロイター通信によると、6月初めのガルワン渓谷の空撮写真には、中国側が建設したとみられる構造物は写っていなかった。

また、5月に撮影された人工衛星写真にも、構造物らしきものは写っていない。

下の図では、5月の写真と、6月22日にマクサーが撮影した写真を比較できる。


インドの防衛アナリスト、アジャイ・シュクラ氏はツイッターで、「ガルワン渓谷の、実効支配線(LAC)のインド側1.5キロの地点に大きな中国基地ができている」と説明した。

インドメディアも軍関係者の話として、中国による建設は、15日の衝突から協議が始まるまでの間に作られたものとみられると報じている。

ラダック地方の紛争に詳しい元外交官のP・ストブダン氏はBBCの取材で、中国による建設は「心配の種だ」と話した。

「(インド)政府はまだ声明も写真も公表していないので、評価は難しい。しかし民間企業が発表した写真では中国による建設物があり、それが撤去されていないことが見て取れる」


インドのナレンドラ・モディ首相にとってこの国境紛争は大きな外交問題となっており、十分な対策をしてこなかったとの批判を浴びている。モディ氏は19日、事態を小さく見せようとし、中国がインドの領土に進攻したことを否定した。

しかしこの発言は、スブラマニヤム・ジャイシャンカル外相が「ガルワン渓谷のLACのインド側に中国が建造物を作ろうとした」と述べたことと矛盾していた。

インドでは両軍の衝突が大きなニュースとして取り上げられている一方、中国ではほとんど語られておらず、政府も事態の詳細を発表していない。

30年以上解決されず

実効支配線の境界はあいまいだ。川や湖、山頂付近の雪などが、境界の確定を難しくしている。世界最大規模の中国、インド両軍は、至る所で遭遇している。

両国は過去30年間で何度か協議を重ねてきたが、国境問題は解決されていない。

ここ数週間は、国境付近で双方の緊張が高まっていた。

これまで両国が戦争状態となったのは1962年のみ。この時はインドが屈辱的な敗北を喫した。

インドは、中国がガルワン渓谷に数千人の部隊を送り込み、インドの領土を3万8000平方キロにわたって占拠していると主張している。

5月には、北東部シッキム州の国境付近で両軍部隊の衝突があった。同州では2017年にも、中国が国境を広げようとしたことをきっかけに衝突が発生した。

インドがラダックに道路を建設したことをめぐって中国との間の緊張が高まった。

インドはラダックの実効支配線に沿った遠隔地に新たな道路を建設している。有事の際に部隊や物資の素早い移送を可能にするもので、こうしたインフラ整備に中国は強く反発している。

(英語記事 Images 'show China structures' on India border