2020年06月28日 12:36 公開

米プリンストン大学(東部ニュージャージー州)は27日、公共政策・国際関係論の学部からウッドロー・ウイルソン元大統領の名前を外す方針を決めた。元大統領の人種差別思想や差別政策が理由という。

アメリカでは5月に黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官に暴行され、死亡した事件以来、各地で人種差別への抗議が続いている。これを機に各地で、奴隷制や人種差別を支持した歴史的人物とかかわりのある施設や場所の名前の見直しや、そうした人物を称揚する彫像の扱いについて議論が続いている。

1913年から1921年までアメリカ大統領だったウイルソンは、国際連盟の創設に貢献した。その一方で、人種隔離政策を支持し、連邦政府の複数の機関にその徹底を命令した。

1902~1910年にかけてプリンストン大学の学長だった際には、黒人学生の入学を阻止し、白人至上主義団体「クークラックスクラン(KKK)」をたたえる発言をしていた。

プリンストン大学のクリストファー・アイスグルーバー学長は27日、公共政策・国際関係論の研究機関として世界的に有名なウッドロー・ウイルソン・スクールから元大統領の名前を外す決定を発表。「ウイルソンの人種差別は、当時の基準に照らしても相当で重大だった」と説明した。

大学理事会は「ウイルソンの人種差別思想や政策」を理由に、大学の公共政策スクールの名前としては不適切だと判断したという。改名後は「プリンストン公共・国際関係スクール」となる。

同時に、構内の学寮「ウイルソン・カレッジ」も名前が変更される。

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アイスグルーバー学長は、プリンストン大学がこれまでウイルソン元大統領を称揚してきたのは、「その人種差別が理由ではないが、その人種差別にもかかわらず、あるいは下手をすると彼の人種差別を知らずして」だったかもしれないと説明した。

「しかし、それこそが究極的には問題だ」と学長は続け、「プリンストンはアメリカの一部で、アメリカはこれまであまりにもしょっちゅう、人種差別を考慮せず、無視し、あるいは言い訳を重ね、黒人を差別するさまざまな仕組みの存続を許容してきた」と述べた。

これに先立ちニュージャージー州のモンマス大学も、構内で特に目立つ建物からウイルソン元大統領の名前を外していた。

プリンストン大学とは別に、南部ミシシッピ州の州議会下院は27日、州の旗から南部連合のシンボルを外す条例案を可決した。南北戦争中に奴隷制維持のために戦った南部連合のシンボルは今では、人種差別のシンボルとみなされることが多い。

ミシシッピ州のテイト・リーヴズ知事(共和党)は、州旗のデザイン変更を求める条例案が可決されれば、これに署名する方針だと述べた。

ジョージ・フロイドさんの暴行死を受けて、各地で奴隷制や人種差別にかかわるとされる像などが撤去されたり壊されたりしている。

これに対してドナルド・トランプ米大統領は26日夜、抗議活動の一環として記念碑や像を「損壊、汚損、撤去」する行為に禁錮刑を科す大統領令に署名した。また、地方の法機関や警察がこうした「暴徒の支配」を看過した場合、連邦政府からの補助金を停止するとしている。

(英語記事 Princeton to remove Woodrow Wilson's name from policy school