
2020年06月28日 15:59 公開
イギリスでは新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)の緩和を受け、旅行会社での夏休みの予約が「爆発的」に増えている。
政府は先に、7月6日以降に不要不急の国外旅行に対する制限を緩和すると発表している。欧州の特定の国への旅行については、帰国後14日間の自主隔離を行わなくてもよいことになった。
これに伴い、予約件数が先週と比べて5割から8割増しに増えた旅行代理店もあるという。
政府は週明けにも、イギリスとの往復が可能な「渡航回廊」を設ける相手国のリストを発表する予定だが、これにはスペイン、フランス、ギリシャ、イタリア、オランダ、フィンランド、ベルギー、トルコ、ドイツ、ノルウェーなどが入るもよう。一方、ポルトガルとスウェーデンは含まれない見通しだ。
イギリスへの渡航については6月8日から、原則14日間の自主隔離が必須となっているが、この施策については旅行業界や与野党双方の議員から批判が出ている。
同国では27日、新たに890人の感染が確認され、100人が死亡した。
3段階で感染状況を明示
英外務省は3月17日以降、不要不急の国外旅行をすべて禁止している。
7月6日以降は各国の新型ウイルスの流行状況を、緑、黄、赤の3段階に分ける新システムが導入される。イギリス政府はこれから数日の内に、各国と調整を進めるものとみられている。
政府報道官は、この新システムによって市民に「海外での夏休みの機会」を与えるとともに、イギリス経済の回復も見込めるとしている。
一方、感染リスクが低い状態で維持できることが制限緩和の前提条件だと強調。その上で、状況が変われば「緩和にブレーキをかける」つもりだと述べた。
また、イギリスの国境は中央政府が管理しているものの、スコットランドとウェールズの自治政府は、公衆衛生とパンデミック対応は各地域が担当するものだとしている。
両地域とも、政府の決めた施策を導入するかは決めていないと話した。
スコットランドの閣僚は、イギリスの4地域が協議する前に国境に関する政府方針が発表されたのは「残念だ」と述べた。
ウェールズの旅行業界は、7月13日まで営業を再開しないことになっているという。
予約が50%増加
旅行大手TUIの広報担当者は、この緩和は、「非常に前向きな前進だ」と歓迎している。
「今週は先週に比べて予約件数が50%増えた。今夏はスペインやギリシャへの旅行が人気のようだ」
同業のLastminute.comも、スペインがイギリスからの渡航者に対する隔離対策を解除したことが奏功し、今週の予約件数が80%増加したと述べている。
英仏海峡トンネルを運営するユーロトンネルでは、問い合わせの電話が「鳴りっぱなし」だと、広報担当のジョン・キーフ氏は話す。
数週間前から「隔離施策を軽視し始めた」人々によって予約が徐々に増えていたが、26日の発表で「爆発的」に増えたという。
業界団体ABTAは声明で、旅行業界は渡航可能な国のリストに「大きな期待」を寄せており、予約の促進につながるだろうと説明。
「外務省による不要不急の渡航の全面禁止は今も、旅行を妨げる大きな要因となっている。そのため、旅行解禁についても、危険レベルの程度に応じた対応を期待する」と述べている。
欧州各国の状況は?
ポルトガルではこのところ、首都リスボン近郊で新規の感染者が増えている。スウェーデンはイギリスよりも感染率が高い。このため両国は新システムでは「赤」に分類され、渡航可能の国には含まれない見通し。
ただし、イギリス政府の報道官は、誰かがイギリスからスペインに渡航した後、陸路でポルトガルに入り、帰りも同じルートでイギリスに戻ることで自主隔離を回避しようとする人がいたとしても、それを止める方法はないと、認めている。
がないことを認めている。
イギリスからの旅行者は、渡航先の宿泊施設ををあらかじめ報告する必要がある。また、イギリスに行き来する飛行機やフェリーでは顔を覆うことが法的に義務付けられている。
ポルトガルのリタ・バプティスタ・マルケス観光相はBBCの朝の情報番組に出演し、ポルトガルは世界旅行ツーリズム協議会から欧州でも最も安全な場所と認定された、「清潔で安全な観光地」だと話した。
また、大規模な検査を行っているため、感染状況は「完全にコントロールできている」と説明している。
一方、ギリシャのハリス・セオハリス観光相は、医療専門家との協議が続いているため、イギリスとの間に空路の「橋」をかけることを認めるには、さらに最長3週間はかかると話した。
21日に緊急事態宣言を解除したスペインは、欧州のほとんどの国からの渡航を解禁した。イギリスからの観光客がスペインに入国しても、自主隔離する必要はない。