
2020年06月29日 11:34 公開
米テキサス州のグレッグ・アボット知事は28日、州内での新型コロナウイルス感染が「一気にとても危険」な状態に変化したと警告した。
アボット州知事は、「ここ数週間で、1日の感染者数が平均約2000人から約5000人以上に増えた」と述べた。
米南部と西部の複数の州では、新型ウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が緩和された後に感染者の急増が確認されている。
米ジョンズホプキンス大学の集計によると、アメリカでこれまでに報告された感染者の数は今や254万7000人を超え、世界最多となっている(日本時間29日午前時点)。
米国内の死者数も12万5000人超と、世界で最も多い。世界全体の死者は50万人以上に上っている。
<関連記事>
感染者が急増、病院が間もなくひっ迫
感染者の急増を受けて、テキサスやフロリダなどの州当局は経済活動への規制を再び強化し、病院が間もなくひっ迫する可能性があると警告した。
アボット州知事は28日、1日あたり最大で5000人が治療のために入院していると述べた。
マイク・ペンス米副大統領は同日、テキサス州に追加のCOVID-19(新型ウイルスによる感染症)検査キットを必要な限り提供する方針を示した。
「テキサス州とテキサス州の医療制度が現状に対応できるよう、必要な物資と人材を確保する」と、副大統領は述べた。
ペンス氏はまた、テキサス州の住民に対して「指示があるすべての場所」でマスクを着用するよう求めた。「経験則から分かっていることだ。(マスクは)新型ウイルスの感染拡大を抑制する」。
アボット州知事と共同記者会見に出席した野党・民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、全国的なフェイスカバー着用の義務化が「遅すぎたのは紛れもないことだ」と述べた。
「この国の記録は、世界最悪だ」と、ペロシ氏は付け加えた。
こうした中、テキサス州の州都オースティンでは、防疫策として特定の状況でフェイスカバー着用を義務付ける動きに抗議する人たちが集まった。
アリゾナ州では28日、1日の感染者数が3800人を超え、過去最多となった。報道によると、数百人が暑さから逃れようと、州内の川辺に移動していたという。
感染者数が増加している米南部と西部の州では、ここ数週間で経済活動が再開されたことで他地域から人が流入していた。
新規感染者の急増を受け、テキサス州のアボット州知事は先週、バーの閉鎖や、レストランの店内の座席数を50%に制限するよう指示した。レストランはこれまで、店内の座席を75%で、バーでは50%での営業が許可されていた。
テキサス州ヒューストンの東にある町ガレナ・パークでは、町長が27日に夜間外出禁止令を発令。病院が間もなく患者であふれかえる可能性があると警告した。
フロリダのロン・デサンティス州知事も再び経済活動を規制。同州のバーに対し、敷地内でのアルコールの提供をやめるよう命じた。
アメリカ全体の状況は
ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、日本時間29日午前時点で、アメリカ全体の感染者は254万7000人を超えている。ウイルス検査の実施規模拡大がが感染者増加の要因の1つだが、一部地域では検査の陽性率も上昇している。
米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は25日、アメリカの新型ウイルス感染者数について、実際は報告数の10倍以上とみられるとした。CDCは、COVID-19にかかった人は2000万人を超えたとみられると推定した。
レッドフィールド所長は米国内の感染者の急増について、特に南部と西部で、18歳から34歳までの若者の間で陽性が確認されていると述べた。
一方でホワイトハウスは、アメリカのほとんどで状況は安定しているとしている。
ペンス副大統領は26日の新型ウイルスに関するブリーフィングで、雇用数や小売売上高の改善を強調し、「我々の国を前進させることにおいて、本当にめざましい進歩」をもたらしたとしてトランプ政権を称賛した。
中国・湖北省武漢で昨年末に発生したCOVID-19は、半年の間に世界中に広がった。ジョンズ・ホプキンス大学によると、世界の感染者は1000万人を超え、死者数は50万人を超えた。
その半数はアメリカと欧州で確認されてきたが、現在はアメリカ大陸で急速に拡大している。
感染対策
- 基本情報:1分で解説 新型コロナウイルスについて知っておくべきこと
- 予防方法: 正しい手の洗い方
- なぜ外出を控えるのか: 家にいることで人の命を助けられる
- 社会的距離とは: 2メートルってどれくらい? 感染対策に必要な距離
- 感染したか判断するには: 「具合が悪いんだけど、もしかして新型ウイルス?」 感染を判断する方法とは
- 心の健康:【解説】 新型コロナウイルス、心の健康はどう守る?
在宅勤務・隔離生活
- 在宅勤務:【解説】 より良い在宅勤務へ 便利なコツやツールは?
- 自主隔離:新型コロナウイルス、自主隔離でやるべきこと
- 必要なものの調達: 安全なデリバリーやテイクアウト、買い物の方法は