田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 7月1日から、全国の小売店でプラスチック製買い物袋(レジ袋)の有料化を義務付ける国の制度が始まる。海洋プラスチックごみ問題の対策や、持続可能な環境対策の一環として行われるのだという。

 新型コロナ危機でほとんどテレビに露出しなくなった小泉進次郎環境相だが、「環境省プラごみゼロアンバサダー」に任命したタレントの西川きよしと、東京海洋大名誉博士でタレントのさかなクン、モデルのトラウデン直美と一緒に積極的にキャンペーンを展開している。当然テレビでの露出も増えていくことだろう。

 環境省はCM用のアニメーションも作成し、テレビ放送も開始されている。みんながマイバッグを使うことで、レジ袋の使用を辞退しようと呼びかける内容だ。さらに「資源の枯渇」「海洋ごみ」「地球温暖化」という巨大なテーマが映し出され、人々の問題意識を啓発している。

 新型コロナ危機で影が薄くなっていたのは、小泉氏だけではなく、環境問題の活動家全般ではないだろうか。一例を挙げるなら、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ氏だ。

 彼女のことも日本のメディアでほとんど話題にならなくなった。一つには、環境活動家たちの多くが夢想している人為的な経済活動の抑制によって、実に厳しい生活の困難を引き起こすことが明らかになったからだ。

 また、経済活動の強制的な自粛からくる精神的・肉体的なストレスも半端ではなく、そのことが世界の人たちに実感として認識されたからだろう。環境への配慮と経済活動のトレードオフは、一歩間違えれば、現実世界のディストピア(反理想郷)、つまり地獄に陥る。

 今、小泉氏がワイドショーなどで積極的に露出を展開している、日本のレジ袋有料化もこの地獄への入口の一つかもしれない。それは、先述したCMが公開された29日の閣議後の記者会見にも表れている。
新型コロナウイルスの感染拡大を避けるため、国会内で屋外会見を行う小泉進次郎環境相=2020年4月(奥原慎平撮影)
新型コロナウイルスの感染拡大を避けるため、国会内で屋外会見を行う小泉進次郎環境相=2020年4月(奥原慎平撮影)
 NHKによると、小泉氏は「海洋プラスチックごみの問題は依然として危機的で、2050年の世界の海では魚よりプラスチックごみのほうが多くなるのではないかとも言われている。なぜ有料化が必要なのかをしっかり伝えて、多くの人に納得してもらいたい」と述べたという。この問題意識を伝える役割は、任命されたプラごみゼロアンバサダーが受け持つ。

 特に注目されるのが、国民的人気の高いさかなクンの発言だ。彼は25日に行われたキャンペーンの席上で、「魚に会いたくて海に潜ると、レジ袋や細かいプラスチックごみがたくさん浮かんでいるんです」と述べた