2020年07月03日 11:14 公開

レイチェル・シュレア、健康担当記者

新型コロナウイルスの抗体検査で陰性とされた人でも、いくらかの免疫をもっている可能性があるとする研究結果が出た。

スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究では、抗体検査で陽性と判定された人数の2倍の人々に、特異なT細胞が見つかった。感染した細胞を特定して破壊するT細胞だ。

これは、COVID-19(新型ウイルスの感染症)の症状が軽かった人や無症状だった人にすらみられた。

しかし、これがその個人を守るだけなのか、他人にCOVID-19をうつすのを防ぐ作用があるのかは、まだ明らかではない。

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カロリンスカ研究所の研究者らは、200人について、抗体とT細胞の両方について検査した。

対象は献血をした人や、スウェーデンにおける最初期の感染者たちで、主にイタリア北部などの感染流行地から戻った人々だった。

この研究結果は、イギリスの感染症全国調査などでの抗体検査の結果が示してきたよりも幅広い人々が、COVID-19に対してある程度の免疫をもっていることを意味している可能性がある。

それらの人が実際に抗体反応を見せた可能性は高い。だが、徐々に弱まったか、現在の検査では感知できないレベルになっていたかした。

この人たちは、新型ウイルスに再びさらされても、防御できるはずだ。

インペリアル・コレッジ・ロンドンのダニー・アルトマン教授は、今回の研究を「精力的で印象的、綿密」と評価。「抗体検査だけでは免疫を過小評価する」ことを示す証拠が、さらに増えたと述べた。

集団免疫

今回の研究結果は必ずしも、集団免疫ができていることを示すものではないと、研究に携わったマーカス・バガート助教は言う。

T細胞が、新型ウイルスを完全にブロックする「殺菌免疫」をつくるのか、体調が悪くならないだけで、新型ウイルスを運んで他人にうつすのかを見極めるには、さらなる分析が必要だ。

バガート助教によると、COVID-19の免疫をめぐる議論は抗体が軸になっている。Y字形をしたタンパク質で、「標的を撃ち落すミサイル」のように働く抗体だという。

それらは、新型ウイルスにくっつき、細胞に入り込む前に中和する。

抗体が新型ウイルスを中和できなかった場合は、ウイルスは細胞内に入り、その細胞をウイルスの製造工場にしてしまう。

一方、T細胞は、すでに感染した細胞を狙って完全に破壊し、健康な細胞に広がるのを食い止める。

T細胞は抗体と同様、記憶力をもつ免疫システムのごく一部だ。特定のウイルスを一度認識すると、そのウイルスに感染した細胞を素早く狙い、殺してしまう。

インターロイキン7と呼ばれる薬は、T細胞を一気に増やすことで知られる。患者の回復を助けられるか、イギリスで試験中だ。

T細胞が激減

イギリスのフランシス・クリック研究所、キングス・コレッジ・ロンドン、ガイズ・アンド・セント・トマス病院の研究者らは、60人の重症患者でT細胞が急激に減少したとみられることを確認した。

これは、カロリンスカ研究所の研究ではみられなかったことだ。同研究所では、患者の容体が悪いほど、抗体やT細胞は多くなった。

研究者チームは、さらなる研究が必要だとした。

T細胞に関する研究としてはこのチームによるものが最大規模だが、それでも比較的少数の患者しか対象にしていない。

T細胞は非常に複雑で、抗体よりずっと特定しにくい。専門的な研究室で何日にもわたり、わずかな検体を手作業で検査することが求められる。

そのため、T細胞の大規模な検査は今のところ現実的ではない。


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(英語記事 More could have Covid immunity than tests suggest